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09月15日-05号

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  1. 神奈川県議会 2021-09-15
    09月15日-05号


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    最終取得日: 2023-05-16
    令和 3年 第三回 定例会 △《本会議録-令和3年第3回-20210915-029062-諸事項-出席議員等・議事日程-》         令和3年第3回神奈川県議会定例会会議録第5号〇令和3年9月15日 午後1時開議   ───────────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共104名       出 席 議 員                       大   村       悠                       桝       晴 太 郎                       永   田   磨 梨 奈                       加   藤   ご   う                       永   田   て る じ                       菅   原   あきひと                       須   田   こうへい                       す と う   天   信                       上   野   た つ や                       石   田   和   子                       田   村   ゆうすけ                       松   長   泰   幸                       山   口   美 津 夫                       高   橋   延   幸                       武   田       翔                       田   中   信   次                       川   崎   修   平                       神   倉   寛   明                       お ざ わ   良   央                       た め や   義   隆                       飯   野   まさたけ                       望   月   聖   子                       佐 々 木   ナ オ ミ                       柳   瀬   吉   助                       市   川   さ と し                       佐   藤   けいすけ                       大   山   奈 々 子                       君   嶋   ち か 子                       池   田   東 一 郎                       石   川       巧                       芥   川       薫                       川   本       学                       市   川   和   広                       山   本       哲                       綱   嶋   洋   一                       新   堀   史   明                       田   中   徳 一 郎                       山   口   貴   裕                       野   田   治   美                       脇       礼   子                       石   川   裕   憲                       米   村   和   彦                       栄   居       学                       小   林   大   介                       京   島   け い こ                       井   坂   新   哉                       佐 々 木   ゆ み こ                       さ と う   知   一                       楠       梨 恵 子                       西   村   く に こ                       谷   口   かずふみ                       藤   代   ゆ う や                       渡   辺   紀   之                       原       聡   祐                       高   橋   栄 一 郎                       あ ら い   絹   世                       柳   下       剛                       細   谷   政   幸                       河   本   文   雄                       加   藤   元   弥                       中   村   武   人                       古   賀   照   基                       青   山   圭   一                       斉   藤   た か み                       赤   野   た か し                       浦   道   健   一                       亀   井   たかつぐ                       佐 々 木   正   行                       渡   辺   ひ と し                       小 野 寺   慎 一 郎                       内   田   み ほ こ                       長   田   進   治                       国   松       誠                       杉   本       透                       小   島   健   一                       いそもと    桂 太 郎                       梅   沢   裕   之                       嶋   村   た だ し                       桐   生   秀   昭                       市   川   よ し 子                       岸   部       都                       く さ か   景   子                       北   井   宏   昭                       菅   原   直   敏                       相   原   高   広                       鈴   木   ひ で し                       藤   井   深   介                       森       正   明                       土   井   りゅうすけ                       杉   山   信   雄                       小   川   久 仁 子                       持   田   文   男                       竹   内   英   明                       松   本       清                       し き だ   博   昭                       松   田   良   昭                       牧   島       功                       堀   江   則   之                       作   山   ゆうすけ                       てらさき    雄   介                       た き た   孝   徳                       松   崎       淳                       近   藤   大   輔                       曽 我 部   久 美 子       説明のための出席者         知事            黒   岩   祐   治         副知事           武   井   政   二         同             小 板 橋   聡   士         同             首   藤   健   治         政策局長          髙   澤   幸   夫         総務局長          筒   浦   浩   久         くらし安全防災局長     花   田   忠   雄         スポーツ局長        平   田   良   徳         環境農政局長        鈴   木   真 由 美         福祉子どもみらい局長    橋   本   和   也         健康医療局長兼未病担当局長 山   田   健   司         県土整備局長        大   島   伸   生         共生担当局長        安   井   由 美 子         教育委員会教育長      桐   谷   次   郎         同  教育局長       田   代   文   彦         選挙管理委員会書記長    船   山   竜   宏         警察本部長         山   本       仁         同  総務部長       木   原   信 一 郎         公営企業管理者企業庁長   長 谷 川   幹   男         企業庁企業局長       池   田   雅   夫   ───────────────────────────────────────       議会局出席者         議会局長          平   井   和   友         議会局副局長兼総務課長   霜   尾   克   彦         同  議事課長       井   上       実         同  政策調査課長     大 河 原   邦   治   ───────────────────────────────────────           令和3年第3回神奈川県議会定例会議事日程第5号                            令和3年9月15日午後1時開議第1 定県第 123号議案 令和3年度神奈川県一般会計補正予算(第16号)   定県第 124号議案 地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例   定県第 125号議案 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例   定県第 126号議案 神奈川県県税条例の一部を改正する条例   定県第 127号議案 神奈川県地震災害対策推進条例の一部を改正する条例   定県第 128号議案 神奈川県屋外広告物条例の一部を改正する条例   定県第 129号議案 工事請負契約の締結について(県営阿久和団地公営住宅新築工事(3期-建築-第4工区)請負契約)   定県第 130号議案 指定管理者の指定について(相模湖公園及び相模湖漕艇場)   定県第 131号議案 指定管理者の指定について(秦野戸川公園及び山岳スポーツセンター)   定県第 132号議案 指定管理者の指定について(相模三川公園)   定県第 133号議案 指定管理者の指定について(山北つぶらの公園)   定県第 134号議案 神奈川県科学技術政策大綱の計画期間の変更について   定県第 135号議案 訴訟の提起について   定県第 136号議案 和解について   定県第 137号議案 和解について   定県第 138号議案 地方独立行政法人神奈川県立病院機構定款の変更について   県報第2号 専決処分について承認を求めること(動産の取得について)第2 認第1号 令和2年度神奈川県公営企業決算及び神奈川県流域下水道事業決算の認定について   ─────────────────────────────────────── △《本会議録-令和3年第3回-20210915-029063-質問・答弁-佐藤けいすけ議員-代表質問①自然環境を生かした神奈川の防災対策について②再生可能エネルギー普及に向けた県営電気施設の活用について③東京2020大会に向けた取組と今後への継承について④新型コロナウイルス感染症の急拡大を契機とした今後の地域療養体制について⑤教育委員会におけるICT推進指針について⑥かながわにおける人にやさしいデジタル社会について》    〔議会局長報告〕  出席議員 議長共59名 ○議長(小島健一) ただいまから、本日の会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(小島健一) 審議を行います。  日程第1、定県第123号議案 令和3年度神奈川県一般会計補正予算外16件及び日程第2、認第1号 令和2年度神奈川県公営企業決算及び神奈川県流域下水道事業決算の認定について、以上一括して議題といたします。  これより質問並びに質疑を行います。  質問の通告がありますので、順次発言を許します。  佐藤けいすけ君。  〔佐藤けいすけ議員登壇〕(拍手) ◆佐藤けいすけ議員 かながわ県民・民主フォーラム佐藤けいすけです。  私は会派を代表して、県政の様々な課題に関して、7問の質問をさせていただきます。喫緊の課題である新型コロナ対策デジタル政策、未来に向けた課題であるグリーンインフラなどです。  知事、企業庁長、教育長におかれましては明快な御答弁をよろしくお願いいたします。また、しばらくの間、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、御清聴をお願いいたします。  〔資料提示〕  質問の第1は、自然環境を生かした神奈川の防災対策について、2点伺います。  初めに、自然や生態系を活用した減災・防災対策についてです。  近年の災害の甚大さは予想を超え、また複合的な災害に発展する時代となり、あらゆる角度から備えに対する視点が求められております。  その中で、近年、Eco-DRRとも呼ばれる、生態系を生かした減災・防災対策が注目を浴びています。  自然災害に遭いやすい土地利用や開発を避けることや、海岸林や湿原、森林など、生態系を管理、保全することで、災害に強い地域をつくる考えです。こうした生態系を生かした減災対策は、近年、国をはじめ、自治体での各種行政計画での位置づけが進んできています。  県においては、国土強靭化地域計画の策定を行い、計画期間は平成29年度から5か年とし、災害のあらゆる対策について備えをしています。  また、令和2年度には水防災戦略を策定し、事業費を増額して、台風や豪雨による災害対策工事の前倒しや早期着工に取り組んでおります。  しかし、費用面などの課題から、ハード対策は量的に一定の限界があり、自然や生態系を生かした減災・防災対策の特徴でもあるソフト対策を進めることで、住民の自助と共助を促す仕組みづくりを、より進める必要があると考えています。  例えば、河川や公園など、生態系の維持管理や整備が考えられます。平時には緑の憩いの場として、遊びや休憩の場となり得る場所でありますが、地域住民にも、草刈りなどの維持管理に関わることで、河川の氾濫や遊水の原理や地中への雨水の貯留の仕組みを学ぶことができ、災害時の行動にも役立てることが期待されます。また、伝統的な知恵の見直し、活用も重要です。  こうした考えを普及推進していくためには、市町村の災害部局とも連携し、部局横断して取り組む必要性もあることから、災害の広域化などに対応する県の役割が求められると考えます。  例えば、県の行う市町村地域防災力強化事業費は、主に水害対策などに使用される補助金でありますが、この中で生態系を生かした取組に係る支援をメニューに加えることで、市町村の支援ができるのではないかと考えます。  そこで、知事に伺います。  自然や生態系を活用した減災・防災対策についての考えを、今後の防災対策に盛り込むべきと考えますが、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、自然環境が有する機能を取り入れたグリーンインフラの取組について伺います。  近年の豪雨は、これまでの想定を超えるものが多数発生しており、私の地元でも、例えば、道路脇の斜面の崖が、従来であれば崩れることがなかったものが、のり面の裏側をえぐってしまうほどの大きな被害を出しました。これまでとは視点を変えた対策を施すことの必要性を痛感しています。  国の資料によると、近年、時間雨量50ミリ以上の短時間豪雨の発生件数は約30年前の1.4倍にもなると言われ、また、今後、洪水の発生頻度は約2倍から約4倍になるという報告もされています。  これまでと同様のハード対策を進めるだけでは、対策は難しいと感じるだけでなく、今後、将来にわたって甚大化と頻発化が想定される自然災害に対して、施設の維持や改良など、多くの費用がかかることの懸念もあります。  このような中で、グリーンインフラという考え方が提唱されています。  〔資料提示〕  これは、自然環境が有する多様な機能を用いることで、社会における様々な課題解決に活用するもので、従来のインフラ整備と併せて、水、緑、土、生物といった自然環境が持つ自律的回復力を積極的に生かして、環境と共生した社会資本整備や土地利用などを進めるものです。  一方、昨今、全国で新たな治水対策として流域治水の取組が本格的に始まりました。  流域治水の考え方としては、河川の氾濫を防ぐための方法として、河川整備などのハード対策をより一層加速化させるとともに、都市の中で雨水を貯留したり、都市内の緑地で土に浸透させる貯留浸透機能などを取り入れ、流域のあらゆる関係者が協働して対策に取り組むこととしており、グリーンインフラの概念も取り入れつつ、対策を進めるべきとしています。  〔資料提示〕  グリーンインフラは、これまでの人工構造物による整備と違い、定量的な効果を見込むことが、いまだ十分に分かっておらず、また、整備や維持管理などの経費が長期的にどのようになるのか分かっていないなどの課題がありますが、長期的には、人工構造物であるグレーインフラと最適な組合せをすることで、経費を抑えられるとの指摘もあり、水防災戦略として、河川や海岸などのハード対策に取り組む県においても、積極的な検討を進めていく必要があると考えます。  そこで、自然環境が有する機能を取り入れたグリーンインフラの取組の今後の方向性について、知事の見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第2は、再生可能エネルギー普及に向けた県営電気施設の活用について伺います。  東日本大震災を契機に電力の自由化が進展したほか、再生可能エネルギーについては、固定価格買取制度が開始されました。また、昨年には、国において、2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略が策定され、再生可能エネルギーに関する様々な法整備が進んでいるなど、脱炭素の視点がより強められてきています。  神奈川県においても、かながわスマートエネルギー構想を策定したのをはじめ、神奈川県再生可能エネルギーの導入等の促進に関する条例の制定や、この条例に基づく計画として、2030年度を見通した、かながわスマートエネルギー計画を策定し、これまで積極的に再生可能エネルギーの普及に取り組んできました。  〔資料提示〕  クリーンな再生可能エネルギーである水力を中心に発電事業に取り組んできた県営電気事業においても、かながわスマートエネルギー構想の創エネの取組の一環として、県営初のメガソーラーとなる愛川太陽光発電所の運転を開始し、さらに、この愛川太陽光発電所を中心に宮ヶ瀬湖エリア、相模湖エリア、津久井湖エリアに設置されている水力発電所などとともに、あいかわ・つくい次世代エネルギーパークとして、資源エネルギー庁の認定を受け、再生可能エネルギーの普及啓発に取り組んできたところであります。  しかしながら、こうした再生可能エネルギーを使った発電施設の県民の理解度や認知度は、決して高いものとはなっていません。  〔資料提示〕  実際、愛川太陽光発電所には、災害時に携帯端末などへの充電が可能な災害コンセントが利用できる施設がありますが、運転を開始して8年が経過した今でさえ、地元の人に十分に周知されていないのが現状であります。  今後、脱炭素社会の実現に向けて、さらに再生可能エネルギーを普及推進させていくためには、県民の再生可能エネルギーに対する理解を深めることが重要であり、そのためにも、県営電気施設をもっと有効に活用して、県内で生み出されているクリーンな電気の魅力を発信し、知ってもらう取組が必要と考えます。  そこで、企業庁長に伺います。  今後、再生可能エネルギーの普及啓発に向けて、県営電気施設をどのように活用していくのか、御所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第3は、東京2020大会に向けた取組と今後への継承について伺います。  東京2020大会は、オリンピック、パラリンピックともに終えんしました。開催前から様々な意見があり、組織委員会と事前の協議などに関して、不安に感じる対応などもありました。しかし、実際に始まると、県内会場では大きな混乱や、県が関わっている施設などへの関係者のコロナに起因する搬送なども聞かれませんでした。  これから課題の整理や今後に向けて取組を進めていくことになると思いますが、東京2020大会は、県ゆかりの選手をはじめ、日本代表選手の大活躍によって、多くの感動を私ももらいました。県民の皆様にも多くの感動や共感が生まれ、大会を楽しんでいただけたのではないかと思います。  改めて、大会に関わっていただいた全ての皆様に感謝を申し上げます。  一方、東京2020大会が東京に決定した際には思いもよりませんでしたが、史上初の大会の1年延期やバブル方式での開催など、東京2020大会は大きく形を変えました。当初予定されていた聖火リレーは、公道から会場での縮小開催となり、会場で一体感を持って応援するライブサイトも中止となりました。大会直前になり、ほとんどの会場において無観客との決断がなされ、世界のトップアスリートたちを目の当たりにする機会がなくなってしまい、それぞれの家庭で観戦を呼びかけることになりました。  〔資料提示〕  県もこれまで、開催都市東京や関係自治体と連携し、大会に向けた盛り上げなどの機運醸成に力を入れてきました。家庭での観戦を呼びかけることは苦渋での決断でありましたが、それでも、テレビやネットなどを通して、アスリートの活躍を通して、人間としての生き方や可能性、世界とのつながりを感じることができた方もいたのではないでしょうか。  このような異例の体制で行われた東京2020大会となりましたが、感染症の長期化や社会が混乱する中で、先例のない形で、会場所在自治体としてあらゆる可能性を探りながら、2020大会の成功に向けて取り組んできた事実は、今後につなげてもらいたいと考えます。  そこで、知事に伺います。  大会の成功に向けて、大会の直前や大会期間中の盛り上げなど、本県としてどのような取組を行ってきたのか、また、そうした取組を今後どのように生かしていこうとしているのか、所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第4は、新型コロナウイルス感染症の急拡大を契機とした今後の地域療養体制についてです。  新型コロナウイルスは、従来株よりはるかに感染力が強いデルタ株の急拡大により、新たな展開を迎えました。  本県は7月から感染の急拡大を迎え、各指標はステージ4を迎え、搬送もままならず、本県の救急医療は崩壊をしたと感染症対策協議会でも述べられています。まさに災害級の対応を迫られています。  本県の感染者は8月中旬に連日2,000人を超え、医療逼迫を迎え、病床の限界とともに医療従事者が対応できるキャパシティを超え、本来なら入院する必要があると診断される方であっても、自宅療養をせざるを得なくなりました。  また、自宅療養の方が急増し、さらに自宅で急激に体調が悪化し、搬送や死亡する事案が起きています。県としても新たな対応を考えざるを得なくなりました。  これまでコロナ対応は、入院か宿泊もしくは自宅療養しかありませんでしたが、感染症対策協議会で、在宅者の外来受診が議論され、8月20日、有症状の患者に早期の薬剤投与を行うよう薬剤処方の指針の通知が行われました。  9月3日には、協議会の中でも、ステロイド等などを事前に処方する早期薬剤処方方針が議論され、改定が行われ、自宅療養者に対し、早期の薬剤投与を行うよう決定がなされました。  これは、これまで本県が行ってきた地域療養の神奈川モデルをさらに進化させた形であり、今後の自宅療養の在り方を変えるものと評価しています。  感染の急拡大により、やむを得ない処置でありましたが、今後の新しい感染症への対処や今後の超高齢社会で医療資源が限られる中、自宅療養をしながら地域医療と関わる社会の展望が見えてきたのではないかと考えます。  本県では、ワクチン接種が進み、11月のできるだけ早い時期に接種希望者への接種が完了する予定としています。ブレークスルー感染や新たな変異株などもあり、今後の感染爆発もあり得、いまだ予断を許さない状況が続くと予想され、今後を見据え、自宅療養体制をより強化すべきと考えます。  そこで、知事に伺います。  本県が災害級の感染爆発を迎えたことを契機に、自宅療養をより推し進めることになりましたが、このことをきっかけに、自宅療養の新たな展開を模索していくべきと考えますが、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第5は、教育委員会におけるICT推進指針についてです。  本県では、平成27年度に神奈川県教育委員会ICT推進指針を策定し、学校における情報機器整備やネットワークの構築に取り組んできました。  県立高校では、平成30年度から、神奈川県独自の計画として、全校に生徒のスマートフォン等の生徒所有端末の接続ができるBYOD回線の整備を行い、令和元年度までにその整備は完了したと承知しています。  さらに、タブレット型端末や校内LANの充実が図られ、今年度末には、国が令和4年度末までの目標としている、3クラスに1クラス分の端末整備も、前倒しして実現されると承知しています。  〔資料提示〕  ICT推進指針は令和元年度に改定されていますが、その後のコロナ禍や分散登校などで、学校を取り巻く環境やICT機器への期待、役割などが変わってきています。  そのような中、例えば、県ではICT支援員を学校に配置し、学校におけるICTに係る業務を支援していますが、現場の先生方の中では、ICT機器の扱いや授業での運用などの対応に苦慮されているとも伺っています。  現在のICT推進指針は、令和4年度までの計画であるため、期間終了後の検討に当たっては、ICT環境の整備が急速に進められる中、学校現場の状況を、県教育委員会はしっかりと検証していく必要があると考えます。  そこで、教育長に伺います。  今後の県教育委員会におけるICT推進指針の検討について、どのように考えているのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第6は、かながわにおける人にやさしいデジタル社会についてです。  近年、情報通信の技術は日々進歩しており、デジタル化は急拡大しています。  特に、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、対面での接触を減らす考えから、急速にコロナ対策として、デジタル推進の必要性が高まっています。  県でも、行政手続のオンライン化を進め、e-kanagawa電子申請システムという講座や試験などの各種申請に利用できるシステムがありますが、これらのシステムは、ユーザーの意見を取り入れて随時更新などをし、使いやすいシステムの提供に努めていると聞いています。  その他、住民向けのサービスにおいても、例えばLINEを活用した各種相談業務を取り入れるなど、普及率が高いスマートフォンなどを活用した、誰もが利用できる事業を展開し、効果を上げているのではないかと思います。  一方、新型コロナウイルス感染症の蔓延により影響を受けている飲食店への協力金のオンライン申請では、ホームページが文字の羅列となり、見づらく、分かりにくいことや、申請の効率化がもっとできないかなどの声も多く頂いております。  このように、まだまだ課題は多く、今後、行政サービスをデジタル化していくに当たり、お年寄りから子供まで、誰もが使いやすいシステムを構築していくことが不可欠であります。その結果、行政も県民の声による課題を的確に判断し、より政策に反映しやすくなるのではないかと思います。  また、県庁内でも、コロナ禍のテレワーク推進もあり、押印廃止など、ICTを利活用した事務の見直しを進めていますが、電子申請の利用者が増えることは、内部事務の効率化にもつながると考えます。  国では、9月にデジタル庁を設置し、神奈川県も令和2年にデジタル戦略本部室を立ち上げ、デジタル社会の構築に向け、本格的に取り組んでいます。  特にコロナが始まってからの社会は、行政と住民や事業者などとのやりとりと協力が社会生活に大きな影響を与えていることから、暮らしや行政システムの構築を担うデジタル戦略本部室には大いに期待しており、牽引してもらいたいと思います。  そこで、知事に伺います。  誰もが電子申請など行政手続のオンライン化の利便を享受できる環境を整備し、内部事務の効率化も目指すため、アクセシビリティーの視点に立った情報の利活用を推進する県として、県民、職員双方の使いやすさを向上させ、人に優しいデジタル社会の構築に向けて取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。  以上をもちまして、私の第1回目の質問を終わります。  御清聴、誠にありがとうございました。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 佐藤議員の御質問に順次お答えしてまいります。  初めに、自然環境を生かした神奈川の防災対策についてお尋ねがありました。  まず、自然や生態系を活用した減災・防災対策についてです。  近年、激甚化、頻発化している自然災害から県民の皆様の命を守る上で、防災・減災対策は大変重要です。  本県には、多くの人口、産業が集積する一方で、相模湾や東京湾に面した海岸や100を超える河川、県西部の山並みなど、豊かな自然があります。そのため、県はこれまでも、人工物の整備による防災対策に加え、自然や生態系を生かす視点から、様々な防災・減災の取組を進めています。  具体的には、県が湘南海岸で保護、育成している砂防林は、自然環境や景観を維持しながら、砂の飛散や塩害、強風から県民生活を守っています。  また、水源環境保全税を活用して整備している水源地域の山林は、水源涵養機能にとどまらず、土砂の流出や崩落等に対する防災機能を備えています。  さらには、河川事業では、遊水地を整備して、平時は自然と親しめる公園などとして活用するほか、流域のあらゆる関係者が協働し、流域全体で水害を軽減させる治水対策に取り組んでいます。  県としては、今後も引き続き、地域の特性を踏まえ、自然や生態系に配慮しながら、最適な手法を用いた防災対策を着実に進めてまいります。  あわせて、今年度、修正を予定している県地域防災計画に、新たに防災・減災に自然や生態系を生かす視点を反映し、対策の一層の充実に努めてまいります。  次に、自然環境が有する機能を取り入れたグリーンインフラの取組についてです。  持続可能な社会を形成するためには、都市基盤の整備に当たり、コンクリート等の人工物だけでなく、自然環境が持つ様々な機能を活用していくことが大切です。  これまで県では、河川、海岸、道路などの整備に当たり、遊水地における生物の生息環境の復元や、砂防林の育成、道路の緑化など、自然環境に配慮した基盤整備に取り組んできました。また、土地利用においても、農地などの緑空間を守りながら、住宅地などの開発を誘導するといった取組を進めています。  こうした取組をさらに進めるものとして、近年、グリーンインフラという概念が提唱されました。これは、これまでのように、施設整備に当たり、単に植物を植えることにとどまらず、生き物や土、水といった自然環境全体をグリーンと定義し、ヒートアイランド現象など、地域が抱える課題解決に活用するためのインフラとして扱うという考え方です。  県では、今年3月に改定した、かながわ都市マスタープランに、今後の社会資本整備に当たっては、グリーンインフラの考え方を踏まえて取り組むことを方針として位置づけたところです。  そこで、今後は、この方針を踏まえ、自然環境が持つ防災・減災、地域振興、環境など、様々な機能をグリーンインフラの概念に照らし、実際の都市づくりの各事業に、どのように反映できるか検討を始めます。  具体には、これまで進めてきた都市基盤の整備について、まずはグリーンインフラの観点で再点検することから始めることとし、直ちに着手します。  こうした取組により、緑あふれる魅力ある都市づくりを進めて、持続可能な社会の形成を目指してまいります。  次に、東京2020大会に向けた取組と今後への継承についてお尋ねがありました。  東京2020大会では、県内開催のオリンピック4競技を、多くの県民がスポーツを身近に感じることができる絶好の機会にしたい、また、パラリンピックは県内競技はありませんでしたが、かながわパラスポーツ推進宣言の下、共生社会の実現を目指した県民総ぐるみの動きにつなげていきたいと考えていました。  しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大により、人を集めたイベント実施を断念し、機運醸成の手法を大幅に見直さざるを得なくなりました。  そこで、県ゆかりの選手の壮行会やパラリンピック聖火の集火・出立式は無観客のネット配信とし、ライブだけでなく、アーカイブ映像を残すことで、会場に足を運ぶことなく、好きな時間に楽しんでいただける内容としました。  さらに、選手の紹介や競技日程を分かりやすく記載した観戦ガイドを作成し、駅など、手に取りやすいところに配架することで、自宅から熱いエールを送っていただくこととしました。  そして、大会期間中は、テレビ中継の機会が少ないセーリング競技を実況、解説するライブサイトに代わる様々な取組を実施しました。  競技の映像はネットで配信されるため、その映像に合わせた解説をツイッターで発信するとともに、その日のレースの見どころなどを紹介する「かながわセーリングちゃんねる」を毎日配信して、レースを分かりやすく楽しめるようにしました。  また、セーリング競技に限らず、県ゆかりの選手の活躍を多くの方に見ていただくため、応援ホームページを立ち上げるとともに、ツイッターも活用して、選手紹介や競技結果等を日々発信して、大会に対する関心を高めました。  こうした取組により、Withコロナ時代のスポーツ観戦の新たな楽しみ方を提供できたのではないかと考えています。SNSやネット配信の利用は、コロナ感染対策だけでなく、場所や時間に縛られず、スポーツを楽しむツールとしても期待できることから、今後も様々な機会に活用していきたいと考えています。  来年は、本県でねんりんピックの開催も予定しており、東京2020大会で得られたノウハウを生かしながら、県のスポーツ推進につなげてまいります。  次に、新型コロナウイルス感染症の急拡大を契機とした今後の地域療養体制についてお尋ねがありました。  感染が急拡大する状況であっても、自宅療養者が安心して療養生活を送ることができる地域療養体制を構築することは大変重要です。  そこで、県ではこれまで、自宅療養者の見守りに関わっていなかった地域医師会の医師や訪問看護ステーションの看護師がサポートを行う地域療養の神奈川モデルを展開しています。  このモデルでは、これまで自覚症状がなく、容体が急変することがある新型コロナウイルス感染症に対して、悪化の兆候をいち早く察知し、医療の視点から早期に対応することとしています。  しかしながら、今般の感染急拡大に伴う病床の逼迫により、これまで入院となっていた症状の方が入院できず、自宅療養を継続するケースや、入院までに時間がかかるケースが生じています。  そこで、県では、自宅療養者等を重症化させないようにするため、早期薬剤処方の指針を定め、有症状の患者に対し、初診の段階から薬剤処方を行うよう、県内全ての医療機関に要請を行いました。  具体には、初診時にせきや発熱などの自覚症状を改善させるため、解熱剤等を処方するものです。このような取組により、患者の苦痛や不安を取り除き、病状悪化を防止することが可能となります。  また、地域医師会の医師の指示により、県から貸し出す酸素濃縮装置を活用し、自宅において酸素投与ができる体制を整備しました。このことにより、容体が悪化した場合でも、入院までの間、応急的な対応ができるようになりました。  このように、早期薬剤投与や自宅における酸素投与など、新しい手法も取り入れながら、地域療養の神奈川モデルをより安心して自宅療養ができる仕組みに発展させてまいります。  最後に、かながわにおける人にやさしいデジタル社会についてお尋ねがありました。  県では、県民の利便性向上や内部事務の効率化に加え、新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点からも、行政手続のオンライン化を進めています。  県民がオンラインで手続を行う際に重要になるのは、いつでも、どこでも、誰でも、簡単に行うことができるサービスを提供することです。また、高齢者や障害者を含む誰もがひとしく、県が発信する情報や機能を支障なく利用できることも重要です。  そのため、県では、平成28年度から、高齢者や障害者にも分かりやすいホームページにするため、音声読み上げソフトへの対応など、JIS規格に基づく一括検証を行い、基準に不適合なホームページは速やかに修正するウェブアクセシビリティーの取組を進めています。  また、令和2年4月には、原則全ての手続をスマートフォンで申請できるよう、電子申請システムを更新し、身近で簡単に手続をできるようにしました。  さらに、本年5月には、パソコンに比べて画面が小さいスマートフォンでも、ボタンや文字を大きくするなど、操作しやすくなるような申請画面のリニューアルも行ったところです。  このような改善を行ったことで、利用者から使いやすくなったとの声も頂いています。  一方、職員側の利便性向上に向けては、電子申請システムで受け付けた申請データの処理をRPAにより自動化したり、申請画面の作成作業を簡単にするなど、内部事務の効率化にも取り組んでいます。  今後も、どのような人でも使いやすいシステムを念頭に改善を続け、デジタルを活用した行政サービスを提供していくとともに、さらなる事務の効率化も図り、誰もがデジタルの恩恵を受けることができる社会の実現を目指してまいります。  私からの答弁は以上です。  〔企業庁長(長谷川幹男)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 長谷川企業庁長。 ◎企業庁長(長谷川幹男) 企業庁関係の御質問にお答えいたします。  再生可能エネルギー普及に向けた県営電気施設の活用についてです。  企業庁では、県営電気事業経営計画の主要事業の一つに、再生可能エネルギーの普及推進を掲げ、水力と太陽光でクリーンな電気を生み出す県営電気の施設を活用した取組を行っています。  これまで、施設周辺のイベント開催に合わせた発電所見学会や、県営電気の地産地消に取り組む小売電気事業者と協働した愛川太陽光発電所を起点とするウオーキングイベントなど、地元や県内企業と連携した取組を実施してきました。  また、県営発電所への関心を深めていただくため、発電機の写真や特徴などを載せた企業庁オリジナルの発電所カードを作成し、見学会に参加した方にお渡ししています。  こうした取組を行う中で、あいかわ・つくい次世代エネルギーパーク関連施設には多くの方が訪れるようになり、一定の成果があったと受け止めていますが、まだ十分とは言えません。  そこで、企業庁では、再生可能エネルギー普及に向けて、県営電気施設をこれまで以上に効果的に活用していくほか、情報発信も強化していきます。  具体的には、毎年、約15万人が訪れる宮ヶ瀬ダム水とエネルギー館で企業庁が運営している電気ゾーンについて、全面的に改修し、魅力をアップさせます。そこでは、デジタルサイネージなどの技術を取り入れ、見て、触って、楽しみながら、分かりやすくをコンセプトに、誰もが再生可能エネルギーについて学べるようにしていきます。  また、現在進めている相模ダムリニューアル事業では、展望施設の設置などを計画していますので、その中で、相模ダム直下にある相模発電所の認知度を向上させる工夫もしていきたいと考えています。  さらに、県営電気施設に行ってみたいと思っていただけるように、例えば施設の動画をホームページに掲載するなど、魅力を伝えられる効果的な情報発信にも取り組んでまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。  教育委員会におけるICT推進指針についてです。  ICT推進指針は、本県における教育の情報化のめざす姿や課題解決に向けた方策、年度別の取組などを示すもので、県教育委員会では、この指針に基づき、情報通信ネットワークや情報機器等の環境整備に取り組んできました。  現行の指針は、令和4年度までを対象期間として、元年度に改定しましたが、その後、コロナ禍によるオンライン学習の進展など、教育の情報化を取り巻く状況は大きく変わってきています。  また、令和元年6月に学校教育の情報化の推進に関する法律が施行され、都道府県は国が策定する学校教育情報化推進計画を基本として、それぞれ推進計画を定めるよう努めなければならないとされました。  国の学校教育情報化推進計画では、本県の指針と同様に、基本的な方針、目標及び講ずべき施策などを定める予定とされています。  こうした中で、現行の指針期間終了後の対応に当たっては、まずはオンライン学習等に向けた環境整備及びその効果的な活用のための支援体制などについて、県教育委員会における高度情報化推進会議及びその専門部会において、学校長から意見等を聴くなど、しっかりと検証を行います。  そして、今後、国が策定する学校教育情報化推進計画の内容を踏まえ、本県のICT推進指針との関係を整理した上で、現行の指針期間終了後の学校教育の情報化の方向性について検討してまいります。  以上でございます。  〔佐藤けいすけ議員発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 佐藤けいすけ君。  〔佐藤けいすけ議員登壇〕 ◆佐藤けいすけ議員 知事、企業庁長、教育長、御答弁ありがとうございました。  それでは、答弁を受けまして、1点、再質問をさせていただきます。  自然や生態系を活用した減災・防災対策についてです。  今、知事のほうからも県の取組についての御答弁を頂きましたが、自然環境を生かした防災・減災の対策のためには、市町村への取組も重要と考えます。市町村地域防災力強化事業費補助金、こちらの支援も必要だと思いますが、改めて見解を伺います。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  市町村地域防災力強化事業費補助金、これは市町村が行う地域防災力強化の取組に対して幅広く支援を行うものであります。  そのため、市町村が行う自然環境を生かした防災・減災事業が、地域の防災力に確実につながるものであれば、補助の対象となりますので、引き続き支援してまいります。  答弁は以上です。  〔佐藤けいすけ議員発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 佐藤けいすけ君。  〔佐藤けいすけ議員登壇〕 ◆佐藤けいすけ議員 知事、御答弁ありがとうございました。  それでは、自然や生態系を活用した減災・防災対策についてです。  県では、県の地域防災計画への位置づけをされるということであったと思いますが、県としても前向きに考えていくということが明らかになったと思います。  この防災・減災の意識の問題だと思っているのですけれども、主にソフト面のお話として伺ってまいりましたが、この質問をしたきっかけというのが、ダムができたことで、住民が過度にインフラを信用する、こういったことが、かえって防災意識を薄らげているのではないか、そういうふうに感じたところです。ですので、インフラの整備などを通して、住民に主体的に関わってもらう、こういう視点が重要だと、そういう点で、行政としての後押しができないか、そういうことで、市町村地域防災力強化事業費補助金、この活用を伺いました。  御答弁では、補助金の対象も市町村の求めがあれば、なり得るというお話もありましたので、この事業に限りませんけれども、新たな予算、そして支援の拡充などの検討も、今後求めたいと思います。  それでは、時間の許す限り、意見を申し上げます。  まず、グリーンインフラの取組についてです。  御答弁では、既に取り組んでいるインフラの認識を述べていただきましたけれども、国内でもまだ議論が始まったばかりでもあるということで、効果や費用面、今後の検討が始まっていくところであると思います。  今回、県としても、直ちにグリーンインフラの観点で、前向きに研究に着手していくと、前向きな御答弁を頂きました。また、今年3月に、県の都市マスタープランでも、グリーンインフラの記載がされたということです。非常に幅広い考えですので、今後も各行政計画の位置づけをすることや、部局の横断をした取組、こちらを進めていただくように求めます。  また、これは、私たちも市町村や住民と話す中で、コンクリートで固めるのはどうなんだという、こういうことが話題になるというのもあります。質問の冒頭で申し上げましたけれども、崖地を固めても、崖の別のところで地中の水が流れていってしまう、そういったようなことが起きていると感じています。既存のインフラとのハイブリッドに適切な配置、施工していくこと、こういった視点、こういうものも必要になってくると思いますので、ぜひお願いしたいと思います。  次に、再生可能エネルギー普及に向けた県営電気施設の活用についてです。  東日本大震災を経まして、2013年に愛川太陽光発電所ができました。企業庁長からも、今後の情報発信を強化していくという前向きな御答弁を頂きましたけれども、電力自由化が行われた後、売電先が変わることで、電力会社を通じて再エネ系の電力を購入することができるようになったなどの環境が変わってきているというふうに思っています。  その中で、地域の人間がこういった施設を見て、電気を購入するきっかけになるように、より強力に推し進めていただきたいと思います。  次に、教育委員会のICT推進指針についてです。  県では、国の方針を受けながら、次期指針の計画を目指していくというようなことだと思います。校長で組織する高度情報化推進会議、こちらなどで図っていくというようなことですけれども、ぜひ多様な関係者を巻き込んで検証を図っていただきたいというふうに思います。  今まさに受検を控える現在の3年生に対することなのですが、学習の不安だけでなく、コロナに感染するのではないかと、登校できない子が多くいると、そういうような報道もありました。  その中で、学習の公平が図られたのか、ICT機器が十分役割を果たせているのか、こういったこともしっかりと検証していただきたいと思います。  ほかにも様々ありますけれども、引き続き常任委員会などで質疑をしてまいりたいと思います。  以上をもちまして、私からの質問を終わります。  御清聴、誠にありがとうございました。 ○議長(小島健一) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(小島健一) 御異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は20分後といたします。                  午後1時55分 休憩        ───────────── ◇ ─────────────
    △《本会議録-令和3年第3回-20210915-029064-質問・答弁-市川和広議員-代表質問①未来を見据えた取組について②県政の諸課題について》                   午後2時15分 再開   〔議会局長報告〕  出席議員 議長共58名 ○議長(小島健一) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(小島健一) 質問を続行いたします。  市川和広君。  〔市川和広議員登壇〕(拍手) ◆市川和広議員 私は、自由民主党神奈川県議会議員団を代表し、通告に従い、順次質問させていただきます。  知事並びに教育長、警察本部長におかれましては、明快な御答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願い申し上げます。  それでは、早速、質問に入ります。  〔資料提示〕  質問の第1は、未来を見据えた取組についてであります。  初めに、戦没者追悼と戦争の記憶の次世代への継承について伺います。  戦争体験者や遺族の高齢化に伴い、本県でも、戦後生まれの戦争を知らない世代が人口の8割を超えました。神奈川県遺族会によると、戦没者遺族の高齢化や地域の遺族会の解散により、県遺族会の会員数は年々減少し、平成元年には3万4,000人であったところ、約30年後の令和3年度は9,000人を下回り、約75%減となっているとのことであります。  戦争体験者の減少に伴い、今後、戦没者への追悼の取組が縮小してしまうのではないか、また、戦争の記憶の次世代継承に影響を及ぼすのではないかと心配する声が上がっています。  県には、戦没者を追悼する施設として、県戦没者慰霊堂があり、毎年5月に県が主催する戦没者追悼式が行われてきました。  しかし、出席される御遺族の高齢化、また悪天候への配慮などから、会場は、令和元年度に県民ホールへ変更されました。  御遺族の安全が確保され、また、天候に左右されない会場になり、安心して追悼式に参列できるようになったのはよかったことでありますが、県戦没者慰霊堂と別の会場になることで、戦没者への追悼の思いが風化してしまうようなことになってはなりません。  また、南方諸地域で戦没した本県出身者をしのぶため、沖縄県糸満市摩文仁の丘に設置している神奈川の塔も、県民の寄附を募って広く知ってもらう努力をし、平成26年に改修工事を行いましたが、それ以降、神奈川の塔が話題となる機会が減っているように感じております。  付け加えれば、我が会派からは、従前より、戦後50年の節目に整備された、かながわ平和祈念館についても、老朽化への対応について指摘してまいりました。神奈川県遺族会からは、雨漏りやエレベーターの不具合など、改善の要望を毎年頂いております。  戦争の体験者の減少が避けられない中、こうした貴重な施設については、子供たちの将来にわたり積極的に活用して、全ての県民が戦争の記憶を継承していく取組が必要なのではないでしょうか。  我が国は、令和7年に戦後80年を迎えます。戦後80年の節目は、次の時代も戦争のない、平和な時代であるように、県民と共に戦争で亡くなられた方を思い、戦争の悲惨さや平和の尊さを考えるいい機会ではないかと考えます。  そこで、知事に伺います。  戦後80年に向けて、戦没者への追悼の思いを風化させないため、戦没者追悼施設の一層の活用や、戦争の記憶の次世代継承について、どのように進めていこうと考えているのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、「かながわ交通計画」の改定について伺います。  本県を取り巻く社会経済情勢は、少子・高齢化の進行や人口減少社会の本格化、気候変動の影響などによる自然災害の頻発・激甚化など、大きく変化しております。  県は、これらの変化に的確に対応し、持続可能な魅力あふれる県土・都市づくりを進めるため、今年3月に県土全体の広域的な都市ビジョンを示す、かながわ都市マスタープランを改定しました。  この改定では、特に人口減少社会への対応として、都市機能を集約するなど、コンパクトなまちづくりを進め、交通ネットワークにより連携を強化するという、いわゆる「コンパクト+ネットワーク」の観点から、持続可能な都市の実現を目指すこととしております。  今後、県内市町村では、こうした考え方の下で、それぞれの地域の実情に応じたまちづくりに取り組むことになると思いますが、本県の交通ネットワークの方向性を示したかながわ交通計画についても、この考え方を踏まえて見直していく必要があるものと考えます。  〔資料提示〕  かながわ交通計画は、神奈川における望ましい都市交通を実現するため、かながわ都市マスタープランの部門別計画として、交通施策の基本的な方向を示したものであり、県はこれまで、この計画に基づき、交通網の充実による県内外や地域間の連携強化や、安全で快適に移動できる環境づくりに取り組んできたと承知しております。  しかし、現計画が平成19年度に改定されてから10年以上が経過し、この間、都市交通をめぐる環境は大きく変化し、それに伴う課題も顕在化しております。  例えば、本格的な超高齢社会を迎え、地域の足となるバスやタクシーなどの公共交通の確保は、これまでにも増して重要となっておりますが、利用者の減少や運転者不足の深刻化などにより、交通事業者の経営が悪化し、身近な移動サービスの提供を受けることができなくなるのではないかと危惧されているところであります。  かながわ交通計画は今年度に改定されると承知しておりますが、改定に当たっては、こうしたことも踏まえ、今後、神奈川における交通施策をどのように展開していくのか、しっかりとその方向を示していくことが求められております。  そこで、知事に伺います。  神奈川における望ましい都市交通の実現に向けて、かながわ交通計画をどのように改定していくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、公立学校における外国につながりのある子どもたちへの支援について伺います。  県内に在住する外国籍の方は、令和3年1月現在で、およそ23万人であり、東京都、愛知県、大阪府に続き、全国で4番目に多く、また、出身国・地域は170を超えており、外国につながりのある子供たちの数も多い状況にあります。  平成30年に国が実施した、日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査によると、本県の公立小中学校、高校、義務教育学校、中等教育学校及び特別支援学校における日本語指導が必要な外国籍の生徒の在籍数は4,453人であり、これは愛知県に次いで2番目に多い数となっております。  このような状況の中で、子供たちが互いに文化や習慣の違いを理解し、認め合う共生社会を構築していくことが求められております。  また、学校を卒業した後に、自らの営みをしっかりと行っていけるよう、在学中から支援していくことが必要であると考えます。  外国につながりのある子供たちの卒業後の進路については、在留資格の違いが進路選択の幅に大きく影響することは承知しております。  平成31年4月に出入国管理及び難民認定法が改正され、令和2年3月に法務省及び文部科学省から示されているように、週28時間を超える業務には就くことができない家族滞在という在留資格を持つ生徒でも、高校を卒業することにより、申請によって、週28時間を超える幅広い職種に就くことができる特定活動という資格に変更できる可能性があり、職業選択の幅が広がることとなります。  これまで、日本語の指導や通訳支援事業など、小中学校や高校を通じて様々な支援を行ってきていると承知しておりますが、今後は、在留資格の周知といった点も含めて、将来の幅広い進路選択の実現に向けて、支援をより一層充実させていくべきと考えます。  そこで、教育長に伺います。  外国につながりのある子供たちが自ら希望する進路を実現し、よりよい人生を送っていけるようにするために、公立の小中学校や高校における外国につながりのある子供たちへの支援について、どのように考えているのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、特異な才能と学習困難とを併せ持つ児童生徒に対する教育について伺います。  これまで、アメリカなどにおいては、ギフテッド教育として、特定の分野に偏らず、例えば、知能指数といった一元的な基準に着目し、幅広く才能を伸長する教育が取り上げられてきました。  近年では、これに加え、ある特定の分野についての突出した才能をさらに伸ばす教育や、そうした才能とともに学習困難も併せ持つ子供に対する教育なども含めて考える方向に変化してきております。  また、そのような才能を将来的に生かす場の一つとして、研究者という可能性がありますが、現在は、国際水準の研究成果も、個人での研究ではなく、チームによる共同研究により生み出されることが多く、分野の異なる多様な才能を持つメンバーが組み合わさり、お互いに補完し合いながら研究を進めることで、結果として、想像以上の成果につながることが注目されております。  現在、学校においても、例えば、単純な作業や暗記は苦手だけど、複雑で高度な活動が得意であったり、対人関係は上手ではないけど、想像力が豊かだったり、また、読み書きに困難を抱えているけど、芸術的な表現が得意だったりなど、多様な特徴のある児童・生徒が一定割合存在すると言われております。  我が国においては、これまでもスポーツや文化などの分野で特異な才能を伸長するシステムが、主に学校外でつくられてきております。  しかし、その一方で、特定分野に傑出した才能のある児童・生徒に対する教育に関し、学校において、そのような才能をどのように定義し、見いだし、伸ばしていくのかという議論や、そのための外部機関などの学びへの参画、活用についての議論は、これまで十分に行われてきておらず、ようやく、国も今年7月に、その議論の場である特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議の第1回を開催したところであると承知しております。  今後、学校には、学校外での高度な学びへ児童・生徒をつないでいくことと併せて、学校内において、特異な才能を持ちながらも、同時に学習困難を併せ持つために、思うように学ぶことができない児童・生徒が、才能を生かしながら、周囲と学び合い、成長する機会を設けることなどについて検討していくことが求められます。  そこで、教育長に伺います。  このような特異な才能と学習困難とを併せ持つ児童・生徒に対する教育について、どのように考えているのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、AIを活用した治安対策の推進について伺います。  県内の治安情勢については、戦後最悪であった平成14年と比較して、実に5分の1以下まで減少しており、これは官民一体となった治安対策が着実に成果を上げているものと考えます。  その一方で、大きな社会問題となっている特殊詐欺や交通死亡事故の発生などを受け、県民の不安感が十分に払拭されたとまでは言えず、より強力な治安対策が求められております。  また、限られた人的・財政的資源の下で、最大限の効果を上げるため、ICT技術を積極的に活用するなどし、業務のあらゆる場面、過程に目を向けた効率化のための取組を積極的に進めることも重要であります。  〔資料提示〕  そのような状況下において、県警察では、平成30年度に行った調査研究を経て、人工知能─AIを活用した犯罪や交通事故の発生予測を行うシステムの実用化を進め、本年4月からその運用を開始したものと承知しております。  全国的に見ても、まだ例の少ない先端技術を活用したこの事業は、県警察が以前から取り組んでいる犯罪発生状況の分析・見える化による治安対策である神奈川版コムスタットのさらなる高度化を目指した施策であり、我々としても注目しているところであります。  それと同時に、運用を開始したこのシステムが、神奈川県内の治安維持・向上に大きく貢献することを期待しております。  そこで、警察本部長に伺います。  AI活用型犯罪・交通事故発生予測システムの導入によって、どのような効果が得られ、実際の警察活動においてどのように活用していくのか、見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 市川議員の御質問に順次お答えしてまいります。  未来を見据えた取組についてお尋ねがありました。  まず、戦没者追悼と戦争の記憶の次世代への継承についてです。  戦争の悲惨さ、平和の尊さ、命の大切さを、未来を担う次の世代に継承していくことは、我々に課せられた責務です。  県では、小中学校や高等学校に戦争体験者を語り部として派遣することや、戦時中の経験を収録したDVDを配布してきました。また、県主催の戦没者追悼式の司会や会場運営に学生ボランティアに参加していただくなど、若い世代に戦争の記憶が継承されるよう取組を進めてきました。  しかし、戦争を知らない世代が8割を超え、若い世代にとって、戦争体験は歴史上の出来事となり、戦争の悲惨さをリアリティーを持って伝え続けることが難しくなっています。  そこで、県では、戦没者の孫、ひ孫や大学生など、若い世代の皆様との意見交換の場を設けて、次世代への効果的な継承方法の検討を行っていきます。また、戦没者の追悼行事を将来にわたり行うことができるよう、県戦没者慰霊堂については、スロープの設置や石畳の補修を行い、沖縄にある神奈川の塔は県民の皆様の多くの御寄附により改修を行いました。  一方で、県戦没者慰霊堂は、御遺族の皆様の高齢化などにより、近年、訪れる方が少なくなっています。また、施設面では、建立から68年がたち、建物や樹木の老朽化も進んでいます。  そこで、戦後80年の節目となる令和7年に向けて、県の戦没者追悼施設を、御遺族をはじめ、より多くの県民の皆様に親しんでいただけるよう、その活用方法を検討する場を立ち上げます。あわせて、施設面の課題についても、その場で検討していきます。  今後も、決して戦争の記憶を風化させることなく、戦争の悲惨さと平和の尊さを次世代に継承できるよう、しっかりと取り組んでいきます。  次に、「かながわ交通計画」の改定についてです。  かながわ交通計画は、おおむね20年後を見据えて、望ましい都市交通の実現に向け、本県の交通施策の基本的な方向を示すものです。  県はこれまで、この計画に基づき、増加する交通需要への対応に主眼を置きながら、県土の骨格となり、強靱な都市づくりに必要な道路や鉄道といった交通網の整備などを進めてきました。  今後は、こうしたことに加え、高齢化の進行や人口減少に対応し、商業や医療・福祉等の都市機能を集約したまちづくりを進める必要があり、これに伴い、集約した都市を中心とした利便性の高い交通サービスの確保、充実が求められています。  また、テレワークの普及に伴う働き方などによって、居住地周辺での移動ニーズが高まっており、こうした需要への対応も必要です。  そこで、今回の改定では、地域交通ネットワークの構築に重点を置き、身近な移動を支える地域公共交通の維持確保に向け、バスなどの既存の公共交通に加え、様々な民間輸送サービスを活用し、地域の交通手段を確保していきます。  あわせて、AIオンデマンド交通などの新型モビリティーやMaaSといった最新技術の導入などの施策を位置づけ、地域の多様な移動ニーズに対応していきます。  県は今後も、都市づくりに必要な交通網の整備に取り組みながら、あらゆる人が安全・安心に、自由に移動でき、コミュニティーの活性化を支える都市交通の実現を目指してまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。  公立学校における外国につながりのある子どもたちへの支援についてです。  県教育委員会では、外国につながりのある子供たちの進路支援について、これまで中学卒業後の具体的な進路等を記載した「外国につながりのある児童・生徒への指導・支援の手引き」を作成し、県内全ての小中学校での活用を図ってきました。  また、全県立高校に、様々な進路に向けた留意点や在留資格の違いによる進路への影響について記載した冊子「外国につながりのある生徒支援のために」を作成、配付し、生徒の指導に活用しています。  今後、外国につながりのある子供たちが成長し、自ら希望する進路を実現していくためには、これらの取組に加えて、外部の専門家と一層連携した支援の強化が必要と認識しています。  そのため、県教育委員会では、市町村教育委員会の所管課長会議等において、行政手続に精通した行政書士会作成の在留資格に関するリーフレットを配付し、各小中学校での活用を図っていきます。  また、このリーフレットを全県立高校に配付することに加え、外国につながりのある生徒が多く在籍する学校には、行政書士会等から専門家を招いて、生徒や保護者などを対象とした相談会を開催します。  これらの取組を通して、外国につながりのある子供たち一人一人の進路実現に向けた支援を充実してまいります。  次に、特異な才能と学習困難とを併せ持つ児童生徒に対する教育についてです。  次代を担う子供たちの育成に当たっては、一人一人の個性や特性などを見極めた上で、その子に合った最適な学びの機会を提供することが大切です。  特異な才能と学習困難を併せ持つ児童・生徒についても、こうした基本的な考えに基づいて対応していく必要があると考えています。  そうした中、この7月に、国において、例えば芸術的な表現は得意だが、読み書きに困難を抱えているといった、特定の分野に特異な才能を持つ児童・生徒への指導や支援の在り方について、有識者会議が設置され、新たな議論が始まりました。  県教育委員会としても、特異な才能を持つ児童・生徒が、さらにその才能を伸ばすことができるよう、教育環境を整えていくことは大切と認識しています。  このため、それぞれの才能に応じた応用的、発展的な学びの提供という視点からは、学校内だけでなく、研究機関や大学などとの連携方法なども検討する必要があると考えています。  また、学習困難などを併せ持つ児童・生徒に対しては、日常の学校生活でどのような困難を抱えているか、そして、その克服方法や支援策などを明らかにしていく必要があると考えています。  今後、そうした点を踏まえつつ、国の動向も見据えながら、特異な才能の見いだし方や指導方法、困難を克服するための支援方策などの在り方について研究してまいります。  以上でございます。  〔警察本部長(山本 仁)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 山本警察本部長。 ◎警察本部長(山本仁) AIを活用した治安対策の推進についてお答えします。  県警察では、県民の体感治安を悪化させている犯罪や、交通事故を抑止することを目的として、平成30年度からAIを活用した犯罪等の発生を予測・分析するシステムの導入を進め、本年4月1日からその運用を開始したところです。  本システムは、過去の犯罪や交通事故の発生状況等をAIに学習させることで、発生予測・分析を行うものです。このシステムの特徴は、県警察が保有する犯罪や交通事故に関する統計データに加え、気候や地形などといった、一般に公開されている、いわゆるオープンデータを活用することにより、地域の特性に応じた発生予測・分析を可能とすることを目指したところにあります。  システムの導入効果といたしましては、AIを活用することで、多くのデータを用いた高度な分析と、警察官が分析に要していた時間の大幅な短縮により、警察活動を一層効果的なものとすることが挙げられます。  具体的なシステムの活用方法といたしましては、女性や子供を対象とする性犯罪などを抑止するための重点的なパトロールや、特殊詐欺を未然に防止するための高齢者宅への注意喚起など、幅広い警察活動に活用しております。  また、東京2020オリンピック競技大会の開催期間中は、競技会場周辺の犯罪や交通事故の発生が予測されるエリア等において、警戒警ら活動を行うなど、各種対策を強化したところです。  県警察では、引き続き、本システムを活用し、犯罪や交通事故の発生予測・分析を行い、先制的な対策を展開することで、犯罪や交通事故のない安全で安心して暮らせる地域社会の実現に取り組んでまいります。  以上でございます。  〔市川和広議員発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 市川和広君。  〔市川和広議員登壇〕 ◆市川和広議員 知事、教育長、警察本部長から御答弁を頂きました。  2点、再質問をさせていただきます。  まず、戦没者追悼と戦争の記憶の次世代への継承についてです。  神奈川県戦没者慰霊堂は、地域住民の身近な施設として、日常の散歩コースになっていたり、また、附属施設であるかながわ平和祈念館は、会議室として利用されていると承知しておりますが、全県下から県民が日常的に訪れる機会が乏しく、その存在が十分知られておりません。  戦没者への追悼の思いを次の世代に継承していくためには、特に、子供たちが訪れる機会を積極的に設ける、そんな必要があると思いますが、見解を伺います。  次に、公立学校における外国につながりのある子どもたちへの支援についてです。  我が会派としても、外国につながりのある子供たちの希望する進路を実現するためには、教職員の指導力の向上も必要であり、特に、外部の専門家などの活用も含めた取組を進めていただきたいと考えますが、見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  戦没者の追悼の思いを継承していくために、子供たちが県の戦没者の追悼施設を訪れ、戦争の悲惨さや平和の尊さを学ぶことは重要です。  県としては、遠足や校外学習、修学旅行といった学校行事を通じて、県戦没者慰霊堂や神奈川の塔を訪れる機会を設けていただくよう、県教育委員会とも連携しまして、県内小中学校や高等学校に呼びかけてまいりたいと考えております。  答弁は以上です。  〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 市川議員の再質問にお答えいたします。  外国につながりのある子供たちの進路支援を進めるためには、教職員が様々な進路に向けた留意点や在留資格など、多くの知識を持っていることが必要です。  そこで、各学校において、外国につながりのある児童・生徒の指導、支援を担当する教職員の指導力向上に向けて、かながわ国際交流財団や行政書士会等から講師を招き、研修会を開催したいと考えております。  以上でございます。  〔市川和広議員発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 市川和広君。  〔市川和広議員登壇〕 ◆市川和広議員 知事、教育長から御答弁を頂きました。  それでは、何点か要望させていただきます。  まず、戦没者追悼と戦争の記憶の次世代への継承についてです。  コロナ禍で迎えた戦後76年目となる本年、各地で予定されていた慰霊祭や追悼式は中止や縮小に追い込まれ、戦争体験者の高齢化に伴い、記憶の継承が喫緊の課題となる中、どのように事実を知り、伝えていくのか。戦没者の思いに寄り添いながら、慰霊と追悼の在り方を今こそ真剣に考えていかなくてはなりません。  御答弁では、県の戦没者追悼施設の活用の在り方について、関係者と共に検討していく、また、県下の子供たちが訪れる機会についても、教育委員会と連携していくといった答弁を頂きました。  戦後80年に向けて、ひいては、その先の将来に向けて、平和の尊さを次世代に継承していくために、戦没者追悼施設の有効な活用、維持管理、不具合の整備などを着実に行うよう要望いたします。  次に、公立学校における外国につながりのある子どもたちへの支援についてです。  神奈川県行政書士会などといった外部の専門家も活用しながらといった答弁も頂きました。  外国につながりのある子供たちの抱える課題は様々です。そうした多様な課題に対して、早期に必要な対策を取っていけるような環境を整備することが非常に重要と考えます。  今後、外部の専門家を含め、関係部署が支援ネットワークを構築し、進路支援に関する総合的な対策をしっかりと進めるよう要望します。  次に、「かながわ交通計画」の改定についてです。  地域公共交通の維持確保に向けた取組として、知事は、6月の定例会において、同じ課題を持つ地域ごとにブロック単位で議論する場を設けていくことを答弁され、その取組が既に始まっていることは承知しておりますが、今回の改定に際しては、こういった様々な課題に対し、市町村の交通計画の指針となる計画とするために、市町村の意見を聴きながら、しっかりと取り組むよう要望いたします。  次に、特異な才能と学習困難とを併せ持つ児童生徒に対する教育についてです。  子供たちの知・徳・体を一体で育む日本型学校教育は、全ての子供たちに一定水準の教育を保障する平等性の面、全人教育という面などについて諸外国から高く評価されているところでありますが、その一方で、個々の子供の生まれ持った特異な才能が埋もれかねないと危惧しております。  児童・生徒の特異な才能については、学校だけでなく、広く外部機関と連携をしながら、その伸長に意を注ぐよう要望します。  以上です。  〔市川和広議員発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 市川和広君。  〔市川和広議員登壇〕 ◆市川和広議員 質問の第2は、県政の諸課題についてであります。  〔資料提示〕  初めに、コロナ禍における生活困窮者支援について伺います。  昨年4月の緊急事態宣言以降、県民の経済活動は停滞を余儀なくされ、それまで安定的な収入を得ていた家庭であっても、雇用形態や業種によっては、休業などにより収入が大幅に減少するなど、県民の日々の暮らしに大きな影響を及ぼしております。  コロナとの共存やコロナ後の経済回復への期待から、製造業など、コロナ前の水準を取り戻していると言われる業種もありますが、特に、緊急事態宣言等によって営業の縮小が求められている飲食業や、宿泊や販売などの対人サービスは消費が回復せず、厳しい状況が継続しております。  飲食業や観光業などの対人サービス業には、パートやアルバイトなどの非正規雇用者が多く、とりわけ非正規労働者の7割を占める女性や、パート収入等に生計を頼っている独り親世帯、学生などの暮らしに色濃く影響が及んでいることを懸念しております。  こうした中、県では、生活困窮者自立相談支援機関の充実を図り、生活福祉資金の貸付けや、生活困窮者自立支援金の支給など、生活に困窮する県民の生活再建の支援に取り組んできました。  また、失業等により住居を喪失するおそれのある方に対する住居確保給付金の支給や、住居を失った方に対する一時生活支援を拡充するなど、生活困窮者のセーフティーネットの強化に取り組んでいることは承知しております。  しかしながら、経済的な支援だけではなく、外出自粛の長期化などによって、社会とのつながりが希薄な、ひきこもり状態にある方や、家族の介護に携わるケアラーなどが孤独・孤立に陥るようなことがないように、しっかり目を向けることも重要と考えます。県は、こうした見えにくい困窮に対しても、取組を進めるべきであります。  そこで、知事に伺います。  県は、コロナ禍の長期化により、日々の暮らしに影響を受けている県民を支援するため、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、県西地域の活性化について伺います。  県では、人口減少が続く県西地域の活性化を図るため、平成26年に県西地域活性化プロジェクトを策定し、市町と一体となって様々な取組を進めてきました。  本年3月に改定し、2期目に入ったプロジェクトは、移住・定住の促進や関係人口の創出などに重点を置きながら、第1期より幅広い取組を進めることで、地域の活性化を目指すものと承知しております。  全国で地方創生の取組が進められる中、県西地域に人々を呼び込むためには、幅広い取組と同時に、他にはない特徴的な魅力を前面に押し出した取組を進めることも重要であります。  県西地域は、食や温泉、森林などの多様な魅力を持った地域であり、これまでのプロジェクトでは、これらの地域資源を未病改善をテーマに結びつけ、新たな魅力として活用する取組が進められてきました。  今般のコロナ禍で、健康に関心を持つ人が増え、密にならない環境の中で心身をリフレッシュするニーズも高まっておりますが、そうした価値観は、コロナ収束後においても一定程度継続していくものと考えられます。  そこで、これまでのプロジェクトで積み重ねてきた未病改善の取組を、県西地域の特色として活用し、さらに展開していくことは、地域の差別化を図る上で、効果的な手段になるのではないでしょうか。  〔資料提示〕  例えば、県西地域活性化プロジェクトの核となる施設、未病バレー「BIOTOPIA」は、オープンから約2年8か月で累計来場者数が100万人を超えるなど、この地域に新たなにぎわいを生み出しております。  BIOTOPIAの大きな魅力は、森林セラピーをはじめ、自然の中で楽しみながら未病改善を実践できるところにあり、また、今春にはオートキャンプ場を開始し、新たな客層の呼び込みにつなげるなど、今後の発展にも大いに期待するところであります。  さらに、BIOTOPIAの近隣のいこいの村あしがらでは、日本でも珍しい人工サーフィン施設のオープンが予定されるなど、エリア一帯には、未病改善にもつながる可能性がある新しい施設が生まれつつあると聞いております。  未病を切り口としたアプローチは、こうした資源を結びつけ、県西地域の魅力を引き出すものであるとともに、コロナ禍をきっかけに健康意識が高まる中、アフターコロナを見据えた有効な活性化策となることが期待できます。  そこで、知事に伺います。  第2期に入った県西地域活性化プロジェクトについて、未病バレー「BIOTOPIA」の活用をはじめ、未病改善の取組をどのように展開し、活性化につなげていこうと考えているのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、本県水産業の活性化について伺います。  本県では、多種多様な魚介類に恵まれ、東京湾や相模湾を漁場とする定置網、まき網、底引き網などの沿岸漁業とともに、三崎漁港を基地とする遠洋マグロ漁業など、様々な漁業が行われております。  しかし、令和元年の統計を見ると、海面漁業生産量と漁業就業者数については、10年前と比べて3割近く減少し、本県水産業は総体的に活気が失われているように感じております。  最近の状況を見ても、磯に生息するアワビ、サザエ、イセエビなどを捕る漁業が盛んな地区では、磯焼けによる不漁が長期化しております。  また、これまでにない、強い勢力を保った台風による定置網漁場や漁港への甚大な被害の発生、さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大による外食需要の減少など、本県水産業を取り巻く状況は一層厳しいものとなっております。  〔資料提示〕  そのような状況の中、世界的には持続可能な開発目標の達成に向けた取組が進められており、国では、昨年12月に改正漁業法を施行し、水産資源の適切な管理の推進と養殖業の振興による水産業の成長産業化を両立させ、漁業所得の向上を図ることで、将来を担う若者にとって、漁業を魅力ある産業としていくための水産政策の改革を進めております。  本県においても、かながわグランドデザインを補完する個別計画である、かながわ水産業活性化指針に基づき、県民への良質な水産物の供給、水産資源の維持・増大、漁場環境の保全、漁業就業者の確保など、県として様々な課題に対して取り組んでいることは承知しております。  しかし、指針策定から既に5年が経過し、指針には5年をめどに見直すこともうたわれていることから、見直しの時期を迎えているものと考えます。また、県産水産物のPRなど、ブランド化を進め、漁業者の所得向上につなげていくことも必要と考えます。  そこで、知事に伺います。  国の水産政策の改革の趣旨を踏まえ、かながわ水産業活性化指針の見直しを含め、今後どのように本県水産業の活性化に取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、本県における国土強靭化の推進について伺います。  近年、我が国では大規模な自然災害が繰り返し発生し、多くの貴い命が失われるとともに、莫大な経済的損失を被ってきました。とりわけ平成23年に発生した東日本大震災は、まさに国難レベルの大震災でありました。  国は、この教訓を基に、平成25年に、強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法を施行し、翌年6月に国土強靱化基本計画を策定しました。  この国土強靱化という考え方は、我が国が大規模災害に見舞われる都度、長い時間をかけて復旧・復興を繰り返した経緯を踏まえ、平時から大規模災害への備えを進め、いかなる災害が発生しようとも人命の保護を最大限図り、国家社会の重要な機能が維持される、強さとしなやかさを持った安全・安心な国土の構築を実現しようとするものと承知しております。  国土強靱化基本法では、国が策定する国土強靱化基本計画の下で、県や市町村が国土強靱化地域計画を策定できることとなっており、本県は、平成29年3月に計画を策定し、策定から5年が経過する今年度、計画の修正を行う予定と聞いております。  〔資料提示〕  県が現行計画を策定した以降も、我が国では、西日本豪雨や北海道胆振東部地震、房総半島台風、東日本台風、令和2年7月豪雨、そして本年7月の大雨による静岡県での大規模な土砂災害など、大規模災害が頻発しております。  それに伴い、避難情報の見直しなど、気象や防災情報の変更が繰り返されるとともに、一方では、AI技術の活用など、防災に係る施策や技術は近年大きく変化していると感じております。  気候変動の影響などで、自然災害が頻発し、本県もいつ大規模災害に見舞われてもおかしくない中、近年の災害における課題や政策環境の変化をしっかりと捉えた上で、県計画の修正に当たる必要があると考えます。  また、国土強靱化を進める上では、最前線で防災を担う市町村の対応が極めて重要であり、県内市町村の地域計画の策定の促進も大切であります。県内には、国土強靱化地域計画をいまだ策定していない市町村も多く、県は市町村の計画策定を支援していく必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  国土強靱化に向けた県国土強靱化地域計画の修正や市町村の計画策定の支援に、県として、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、神奈川県の建築物の耐震対策について伺います。  日本は世界でも有数の災害大国と言われており、毎年のように様々な災害が頻発しております。  その中で、特に地震については、いつ発生するのか正確な予測が難しく、また、広範囲に大きな被害が生じるおそれがあることから、事前の備えが何よりも重要であります。  既存建築物の耐震対策については、平成7年に、阪神・淡路大震災を教訓として建築物の耐震改修の促進に関する法律、いわゆる耐震改修促進法が制定され、本格化してきましたが、その後、平成18年の法改正により、国が耐震改修の目標等を定めた基本方針を策定し、都道府県や市町村が耐震改修促進計画を策定する現在の枠組みができました。  県では、国の基本方針に基づき、平成19年に神奈川県耐震改修促進計画を当初策定し、住宅や多数の者が利用する建築物の耐震化について目標を掲げ、耐震対策に取り組むとともに、市町村との連携により、全県の耐震化を促進してきたと承知しております。  その結果、全体として目標値はおおむね達成されつつあるものの、一方では、昭和56年以前の、いわゆる旧耐震基準で建てられた建築物のうち、災害時の緊急輸送道路沿道の耐震化は、十分に進んでいないといった課題があると認識しております。  また、こうした古い建築物の中には、建物所有者の高齢化などにより、建物全体を耐震改修することが現実的に難しくなっているものがあり、これまでのように一律に耐震改修等を求めるだけでなく、命を守ることを優先とした弾力的な対応なども検討していく必要があるのではないかと考えられます。  こうした中、現在、国では、基本方針の見直しが行われており、それに先立って、見直しの骨子案が示されているところであり、県では、国から示された骨子案とこれまでの耐震対策の課題とを照らし合わせ、計画の改定を検討していくものと理解しております。  そこで、知事に伺います。  今後、計画の改定をどのような方向で進めていこうと考えているのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、県立学校の危機管理について伺います。  近年、災害が激甚化、頻発化し、想定を超えた雨量による土砂崩れや河川の氾濫などが全国各地で後を絶たず、本県においても、こうした災害がいつどこで起きてもおかしくありません。  また、コロナ禍において、子供たちの学びを保障するため、オンライン授業などに取り組むとともに、学校における感染症対策を講じつつ、学校での学びや活動の継続に取り組んでいることは承知しております。  学校現場では、こうした感染症や自然災害だけでなく、子供たちが活動する中で、熱中症やけが、突然の発作など傷病の発生、不審者の侵入、食中毒やアレルギーによるショック、登下校中の交通事故など、様々な危機が想定されることから、子供を守るため教職員が適切に対応できるよう、各学校では危機管理に関するマニュアルを作成していると承知しております。  〔資料提示〕  そうした中、文部科学省では、この6月に危機管理マニュアルの見直しガイドラインを示し、各学校が、有事の際には教職員が共通理解の下、児童・生徒の安全を確保できるように、常にマニュアルの見直し、改善をするよう求めているところであります。  我が会派としても、不断の見直しにより、常に最新のマニュアルとした上で、有事の際にはしっかりとした対応ができるよう、平時から備えておくことが危機管理の要であると考えます。  そのためには、各学校のマニュアルは、実際に使えるものでなくては意味をなさないため、マニュアルどおりにできるのか、具体的な危機の場面を想定した訓練をしっかり行い、その結果をフィードバックすることが重要だと考えます。  さらには、そうした訓練を学校だけで完結するのではなく、実際に関わりのある地域の警察や消防、市町村や自治会など、関係者の協力を得て、連携して取り組むことも必要と考えます。  そこで、教育長に伺います。  県立学校における危機管理を実効性のあるものとするために、県教育委員会として、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 県政の諸課題について、何点かお尋ねがありました。  まず、コロナ禍における生活困窮者支援についてです。  コロナ禍の長期化は、多くの県民の暮らしに大きな影響を及ぼしており、生活に困窮する県民の暮らしを支える取組は急務であると認識しています。  県ではこれまで、日々の生活に困窮したり、不安がある県民を支えるため、各市や県の自立相談支援機関の相談員の増員などの体制強化を図ってきました。また、約9万世帯に、688億円に及ぶ生活費の貸付けを行い、家賃の支払いが困難になった約1万3,000世帯に住居確保給付金を支給してきました。  さらに、コロナ禍で孤独・孤立に陥り、不安を抱える女性に対しては、6月補正予算を計上し、相談体制を強化するなど、早急な支援を進めています。  しかし、長期化するコロナ禍において、低迷する雇用情勢による家計の減収により、さらに多くの県民が生活困窮に陥るおそれがあります。また、コロナ禍の生活困窮は、見えない困窮とも言われ、これまでの公の制度だけでは十分に支援が行き届かないことも懸念されます。  そこで、今後は行政の取組に加え、誰一人取り残さないというSDGsの理念に基づき、NPOや企業など、様々な主体のパートナーシップによって、生活困窮者への支援を進めていきたいと考えています。  具体的には、身近な相談者がいない女性、自分の居場所が見つからない子供、さらには、ひきこもりなど、仕事が見つからず、生活の再建や自立への道筋が見通せない方々への支援にできるところから着手していきます。  県は、コロナ禍で生活に困窮する県民に寄り添った支援に全力で取り組んでまいります。  次に、県西地域の活性化についてです。  県をはじめ、市町や民間が連携し、平成26年から未病の改善をキーワードに県西地域活性化プロジェクトを進めた結果、地域全体に未病の考え方が広く浸透し、未病コンセプトを生かした取組も数多く生まれてきました。  例えば、BIOTOPIAでは、食、運動、癒しをテーマにワークショップが開催されており、来年春には温泉水を使った新施設「FIT&SPA」のオープンも予定されるなど、設置・運営主体のブルックスホールディングスが未病改善の取組を意欲的に展開しています。  こうした動きを捉え、地域の首長からは、BIOTOPIAや未病いやしの里の駅など、これまでの成果を活用した未病改善、地域活性化の取組について、積極的な意見、提案を伺っています。  今後は、コロナ禍で改めて重要性が認識された未病改善の取組を、地域一体となって強化し、Withコロナ、アフターコロナ時代にふさわしいマグネットとして活用していきます。  具体的には、今年4月に、はこね金太郎ラインが開通し、箱根と足柄地域のアクセスが格段に向上しました。この新たなチャンスを生かして、例えば、エリア一帯の未病改善スポットや新たな周遊ルートの情報を発信するなど、健康に関心を持つ人々の来訪を促します。  また、BIOTOPIAについては、県が運営するme-byoエクスプラザと森林セラピーロードなど、施設内の他の資源と相互に結びつけた体験プログラムを開発するとともに、周辺施設や未病関連企業との連携を後押しするなど、未病の戦略的エリアの核として一層の活用を進めます。  未病改善は、県西地域における最大のアピールポイントです。これを関係人口の創出などにつなげることで、移住・定住の促進など、地域のさらなる活性化を図ってまいります。  次に、本県水産業の活性化についてです。  県はこれまで、海・川の豊かな恵みと潤いを提供する活力ある水産業を目指し、生けすを活用した出荷調整による価格の安定化や担い手の確保など、様々な施策に取り組んできました。  その結果、漁業生産量や漁業者数の減少等、依然厳しい状況にあるものの、近年は、漁業者1人当たりの生産額の増加傾向や、新規就業者の約7割を30代以下の若者が占めるなど、明るい兆しも見られます。  一方、水産政策の改革のため、70年ぶりに改正された漁業法が昨年12月に施行されるなど、大きな変化がありました。また、かながわ水産業活性化指針は、策定後5年が経過し、計画期間10年の半ばを経過しています。  そこで、これまでの施策の進捗状況や成果を踏まえ、水産審議会の有識者や漁業者などの意見を聴きながら、今年度中に指針の改定を行います。  指針の改定に当たっては、国の水産政策の改革の趣旨を踏まえ、大規模外洋養殖等による養殖の促進、漁船や漁具の設備投資への支援など、漁業所得の向上に向けた取組強化を位置づけたいと考えています。  さらに、磯焼け対策と水産資源のブランド化を同時に進めた県独自のキャベツウニなどをもっと積極的にPRすることで、水産業への関心を高め、人材確保につなげていきます。  加えて、漁業就業促進センター等での研修による人材育成も行っていきます。また、市や町が管理する漁港を含めた漁港施設の強靱化、漁港の多目的利用の推進といった取組についても、着実に進めていきます。  こうした取組を反映させた改定指針に基づき、本県水産業の活性化に向けてしっかりと取組を進めてまいります。  次に、本県における国土強靭化の推進についてです。  近年、全国で大規模な自然災害が頻発している中、本県でどのような災害が起きても最悪の被害を逃れ、迅速な復旧を可能とする国土強靭化の取組は大変重要です。  県ではこれまで、平成29年に策定した国土強靭化地域計画をはじめ、地震防災戦略や水防災戦略などに基づき、ハード・ソフト両面から国土強靭化の取組を進めてきました。また、コロナ禍の中で、密を避けた避難所運営や自宅療養者の避難誘導体制の確保など、自然災害と感染症の複合災害対策にもいち早く取り組んでいます。  さらに、被害情報の迅速な収集や住民の円滑な避難に向けて、全国に先駆け、AIを活用した防災チャットボットの導入に向けた取組を進めています。  県では、こうした社会情勢の変化やAI技術の進展などを踏まえ、県地域防災計画との整合も図りながら、今年度中に国土強靭化地域計画を修正し、対策のさらなる充実を図っていきます。  一方、市町村における国土強靭化地域計画の策定を促進するため、県では、先行事例の紹介や、国の講師による出前講座を開催するなど、市町村の取組を支援してきました。  その結果、現在、県内8市町が国土強靭化地域計画を策定しており、その他の市町村でも全て計画の策定に向けた取組が進められています。  国は昨年末に、国土強靭化5か年加速化対策を策定し、国土強靭化の取組をさらに支援していますので、県としては、こうした国の支援も活用しながら、引き続き国土強靭化を推進し、災害に強い神奈川を目指してまいります。  最後に、神奈川県の建築物の耐震対策についてです。  県民の生命、財産を守るため、建築物の耐震化を進めることは非常に重要です。  これまで県は、平成19年に策定した耐震改修促進計画において、建築物の耐震化率の目標を90%と定め、耐震化を進めてきましたが、平成26年からは、耐震診断や改修に助成を行うとともに、令和2年度の目標を95%に高め、取組を加速してきました。  その結果、生活の中心となる住宅や多くの方が利用するホテル、病院などの耐震化率は目標の95%をおおむね達成し、全体としては耐震化が大きく進展しました。  一方で、緊急輸送道路の沿道のうち、倒壊した場合に道路を大きく塞ぐおそれがある、いわゆる沿道建築物の耐震化率は約3割にとどまっており、課題となっています。  そこで、県は、国の基本方針骨子案で耐震化の重要性が高いとしている沿道建築物などについて、新たに目標を定めるとともに、建築物の所有者に対し、直接訪問するなどにより、改修の働きかけを強化していきます。  また、所有者の高齢化や費用の面などから、建物全体の改修に踏み切れないといった課題もあります。このようなケースについては、例えば寝室部分から段階的に改修を進めるなど、命を守ることを優先した方策についても改定計画に盛り込みます。  県は、こうした観点から、今年度中に計画を改定し、県民の安全と安心の確保に向け、建築物の耐震対策にしっかりと取り組んでまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。  県立学校の危機管理についてです。  県立学校では、地震や風水害などの自然災害をはじめ、不審者の侵入や感染症等への対応について、県教育委員会が示したガイドライン等に基づき、それぞれ事象別にマニュアルを作成し、危機管理に当たっています。  また、地元自治会と共に、避難所の開設訓練や警察署の指導による侵入者対策訓練など、地域と連携し取り組んでいます。  しかし、全国各地で想定を超える災害等が発生し、学校を取り巻く社会環境も変化する中、様々な危機から児童・生徒を守るためには、迅速で的確な対応が必要であり、それを支えるマニュアルや訓練については、不断の見直し、改善が必要です。  そして、その際には、分かりやすく、使いやすいマニュアルとすることや、児童・生徒が自分たちの命は自ら守るという危機意識を持って、主体的に取り組めるような訓練とすることが重要です。  そのため、県教育委員会では、学校長と教育委員会の幹部職員で構成する県立学校防災推進会議で各学校のマニュアルの好事例を共有するなど、よりよいマニュアル作成に向けて継続的に協議、検討していきます。  また、一部の学校で取り組んでいる、児童・生徒が教員の指示を待たずに自ら考え、行動する疑似体験的な訓練など先進的な取組を、防災担当教員を対象とする研修会を通じて周知し、他の学校へ広げていきます。  県教育委員会では、こうした取組を進め、県立学校における危機管理の実効性を確保してまいります。  以上でございます。  〔市川和広議員発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 市川和広君。  〔市川和広議員登壇〕 ◆市川和広議員 知事、教育長から御答弁を頂きました。  2点、再質問をさせていただきます。  まず、本県水産業の活性化についてです。  指針を改定するという答弁がありましたが、将来を担う若者にとって魅力ある産業となるよう、県としてしっかりと取り組んでいってもらいたいと思います。  そのためには、総合的かつ機能的に施策を展開できる組織の強化についても図っていくべきでありますが、まずは、本県水産業の活性化に取り組む県の意気込みを明確にするためにも、部の名称に水産を入れるべきと考えますが、見解を伺います。  次に、県立学校の危機管理についてであります。  危機管理マニュアルの見直しや訓練の取組について御答弁を頂きましたが、そのうち、今まさに有事の真っただ中である新型コロナウイルス感染症対策のマニュアルについて、現状と今後の対応について見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  本県水産業の活性化に向けた組織の強化についてお尋ねがありました。  県では、大規模外洋養殖等の養殖の促進など、漁業所得の向上に向けた取組を強化することにより、本県水産業の成長産業化を図ってまいります。  こうした取組を行っていく中で、組織名称の見直しを含め、組織の在り方についても検討してまいります。  答弁は以上です。  〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 再質問にお答えいたします。  県立学校では、国の新型コロナウイルス感染症対策のマニュアル等の内容を踏まえて、県教育委員会が作成しているガイドライン等を対応マニュアルとしています。  今後も、感染状況に応じて教職員が的確に対応できるよう、マニュアル等の必要な見直しに適宜取り組んでまいります。  以上でございます。  〔市川和広議員発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 市川和広君。  〔市川和広議員登壇〕 ◆市川和広議員 知事、教育長から御答弁を頂きました。  それでは、何点か要望させていただきます。  まず、本県水産業の活性化についてです。  435キロの海岸線を有する神奈川県は、水産業に恵まれた環境です。その環境を生かし、将来を担う若者にとって魅力ある持続可能な水産業となるよう、以前から我が会派が指摘させていただいている、部の名称に水産を入れることを検討するよう強く要望します。  次に、県立学校の危機管理についてです。  危機管理マニュアルの本質的な目的は、形を整えておくことではなく、危機に際して迅速かつ的確に対応することにあります。  児童・生徒の安全を確保する体制を確立するために、全県立学校が具体的な危機の場面を想定した実効性のあるマニュアル作成ができるように、また、マニュアル作成後は、教職員の理解はもちろんのこと、地元関係機関との連携に努め、平時より、十分に準備するよう要望します。  次に、県西地域の活性化についてです。  まず、今回の改定では、プロジェクトの計画期間が第1期の5年から、第2期では3年と短縮されました。このことが、県の県西地域活性化への意欲が減退していると受け止められないよう、県西地域の活性化を戦略的に進めていくよう要望します。  また、神奈川県が運営する体験型施設「me-byoエクスプラザ」は臨時休館中でありますが、コロナ禍である今こそ、県民の健康増進のために、予約制などの入場制限を行うことで再開が可能であると思いますが、再開に向けて検討するよう要望いたします。  さらに、第1期プロジェクトの象徴的な施設であるBIOTOPIAの設置・運営主体であるブルックスが民間の力を発揮して様々な取組を行っておりますので、引き続き、県が未病を切り口に民間の力を活用し、民間の動きを結びつけ、地域全体の活性化につなげていくよう要望いたします。  以上で、質問を終わります。  御清聴、誠にありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○議長(小島健一) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(小島健一) 御異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は20分後といたします。                  午後3時32分 休憩        ───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-令和3年第3回-20210915-029065-質問・答弁-市川よし子議員-代表質問①コロナ禍における喫緊の課題について②その先の神奈川へ向けた取組について》                   午後3時54分 再開   〔議会局長報告〕  出席議員 副議長共58名 ○副議長(佐々木正行) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(佐々木正行) あらかじめ時間の延長をいたします。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(佐々木正行) 質問を続行いたします。  市川よし子君。  〔市川よし子議員登壇〕(拍手) ◆市川よし子議員 立憲民主党・民権クラブ県議団の市川よし子です。  議長のお許しを頂きましたので、私は、立憲民主党・民権クラブ神奈川県議会議員団を代表し、通告に従い、順次質問をさせていただきます。  知事並びに御答弁者におかれましては、明快な御答弁をよろしくお願いいたします。先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願い申し上げます。  それでは、質問に入ります。  〔資料提示〕  質問の第1は、コロナ禍における喫緊の課題について伺います。  まず、ワクチン接種証明書等の活用の課題について伺います。  政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は、3日、ワクチンが行き渡った後の経済社会活動の制限緩和について、ワクチン接種証明書や検査の陰性証明書を活用し、医療機関、高齢者施設での面会や県境をまたぐ旅行、大規模イベントなどの制限を緩める仕組みの検討や、百貨店や飲食店での活用の検討などを提言いたしました。  それを受け、9日には政府から、ワクチン・検査パッケージという仕組みを活用し、行動制限を緩和する基本方針が示されたところです。  自粛が長期にわたって継続する中、経済活動の正常化への道筋を示すことは大変重要であります。  しかし、分科会の尾身会長や全国知事会も懸念を示したように、現在の医療体制の逼迫状況の中で、緩和の議論だけが先行することで、誤ったメッセージにならないよう慎重に配慮しなければならないのは言うまでもありません。  ワクチン接種証明書や検査の陰性証明に関しては、今後、国の動きを待たずに、民間で活用する取組が進むことも想定されます。  その一方で、こうした取組がワクチン接種、未接種で新たな差別を生んだり、行動制限における不公平が生じることも懸念され、また、ワクチン接種は個々の任意のものでありますが、同調圧力になるとの見方もあるところです。  海外に目を向けると、国がそうした証明の義務化を打ち出したフランスなどでは、国を分断する大規模なデモなども起きております。  国は、ワクチン接種について、11月をめどに希望者の接種が行き渡ると示しておりますが、ワクチンの効果が時間とともに薄れる可能性の指摘や新たな変異株が検出されるなど、今後の状況は予断を許さない要素があると言わざるを得ません。  また、原則自己負担でとされた検査証明につきましても、現状でどれだけの検査が可能なのか、精度は担保できるのか、課題は山積しています。  仮に、今後、経済活動の再開のために、このような証明書を活用するのであるならば、こうした課題を事前に整理し、人権への配慮や誰もが簡易に検査が受けられるスキームの構築などの対応を、今から準備しなければならないと考えます。  そこで、知事に伺います。  今後想定されるワクチン接種証明書などの活用について、その課題である検査体制の拡充や人権への配慮などへの対応を含め、現段階で県としてどのように考えるか、御所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、災害時における新型コロナウイルス感染症自宅療養者の避難についてです。  近年、台風の大型化や線状降水帯による集中豪雨で、土砂災害、風水害が全国各地で発生しています。  今年7月には、東海・関東地方を襲った豪雨により、静岡県熱海市で大規模な土砂災害が発生しました。  本県でも、特に平塚市で7月3日に、警戒レベル5緊急安全確保が全国で初めて発令されました。その避難対象者は19万人に上ったと聞いています。これからの本格的な台風シーズンに向けて、さらに備えを万全にする必要があります。  一方で、7月下旬から、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が激増し、8月には本県の1日当たりの新規感染者数が2,000人を超える日が続き、これに伴い、自宅療養者も一時、1万6,000人を超えるまでに急増しました。大雨による浸水が想定される地域などにいる自宅療養者も、いざというときには自らの命を守るため、安全な場所に避難していただく必要があります。  〔資料提示〕  県では、昨年6月に新型コロナウイルス感染症を踏まえた避難所運営ガイドラインを策定し、避難所運営について市町村にお示ししていることは承知しています。  このガイドラインでは、避難所での感染防止対策を図るため、発熱などの症状などがある方と、そうでない方の避難スペースを分けることなどが示されていますが、既に新型コロナウイルスに感染している方については、「原則として一般の避難所に滞在することは適当でないことに留意する」としています。  すなわち、自宅療養者は一般の避難所には入れないことになるのです。では、どこに避難すればよいのでしょうか。  自宅療養者については、大雨警報発令などの際に、県が市町村を通じて自宅療養者に希望の有無を確認し、希望があれば可能な限り宿泊療養施設へ受け入れようとしています。しかも、民間救急などを手配して、宿泊療養所に行かなければならないスキームになっています。  しかし、宿泊療養施設は県内でも数か所しかなく、感染爆発時には、病床はすぐに満床となり、避難者を受け入れる余地はないと思います。  そもそも、大雨や地震などの災害時に、民間救急を手配して宿泊療養施設に避難させること自体、不可能に近く、制度上問題があると考えます。  災害時に療養者の方々の命を守るためには、感染拡大防止を図り、自宅療養者が避難した場合でも健康観察ができる専用の避難所を、市町村と連携して身近な場所に設置する必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  災害時に自宅療養者が安全に避難できる場所を確保することが必要と考えますが、知事の御所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、コロナ禍における県庁体制と県職員の働き方についてです。  昨年1月以来、新型コロナウイルス感染症との闘いが長期にわたっており、なかなか収束の見えない状況が続いています。  この間、県は全庁コロナ・シフトを掲げ、健康医療局や産業労働局などに応援職員を投入しながら、様々な課題に対応してきたことは承知していますが、多くの職員が長時間残業を余儀なくされてきたことも事実であります。  具体的には、昨年度、過労死ラインとされる月100時間以上の残業を行った職員は、延べ237名に達しています。県では、昨年度の反省も踏まえ、今年度、月100時間以上の残業ゼロを掲げ、事務事業の見直しを進めていますが、デルタ株による感染拡大に加え、オリンピック・パラリンピックの開催や、豚熱への突発的な対応などもあり、今年度も長時間残業がかなり発生しているのではないかと危惧します。  また、8月末までのメンタルヘルス相談件数は、昨年度の同月比でおおむね5割増の状況と聞いており、職員の精神的な負荷も深刻な状況にあるのではと感じています。  さらに、ワクチン接種にせよ、協力金支給の事務作業にせよ、国がいきなり方針だけを示し、あとは自治体に任せるというような、丸投げとも批判される事態が重なり、こうした状況に、より拍車をかけていることを強く懸念いたします。  新型コロナウイルスに感染する職員が増加していることも心配な事案であります。県職員向け職域接種も、国からのワクチン供給が当初の予定から大幅に遅れ、ようやく最近になって接種が始まったと聞いています。  〔資料提示〕  調べたところ、知事部局では、8月末までに120名近くの職員が感染し、8月だけで51名の新規感染者が判明しました。同じ職場において複数の職員が感染するケースも発生するなど、感染リスクという面でも厳しい環境に置かれていると感じています。  そもそも今年度はコロナ・シフトの予算編成の時点で、不要不急の事業については大きく見直し、県民生活に最低限必要な事業に絞ったものと承知していますが、コロナ対応のために、全庁から最大850人規模の応援体制をしいているということであり、職員の安定的な配置が見込めず、事務事業の計画的な推進が見通せない状況になっていないか、心配されるところです。  このような状況が続けば、県民の生活を支えるために必要不可欠な業務にも支障を来しかねず、仮にコロナ以外の事業が延期、中止するような事態になれば、その影響は計り知れません。  現在の感染爆発とも言うべき危機的状況において、県民の命を守るためには、最前線に立って行政を回している職員が、その能力を最大限に発揮することができる環境を守ることが重要であり、危機に対峙するには、人材なくしては進めることはできないという決意を新たにすべきではないかと考えます。  そこで、知事に伺います。  新型コロナウイルス感染症との闘いが続く中で、職員の長時間労働の現状や、応援を中心とした体制についてどのように認識しているのか、また、県民にとって必要不可欠な業務もしっかりと維持していくため、今後どのように取り組んでいくのか、御所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、宿泊・自宅療養者等の投票権の担保についてです。  新型コロナウイルスに感染した自宅療養者や宿泊療養者については、外出自粛が求められることから、これまでは投票が困難であったところ、議員立法による法律が本年6月に施行され、療養者の郵便投票が可能となったものと承知しています。  こうしたことは、憲法で保障された選挙権の担保という意味では、大変意義のあることだったと考えます。  ところで、8月に入り、第5波と言われる感染爆発により、本県をはじめ、大都市部において、自宅療養者や宿泊療養者が急増している状況となっています。  そうした中、8月22日に横浜市長選挙が執行されたところですが、有権者の関心が高かったことから、投票率が49.05%と前回を11.84ポイント上昇いたしました。  では、郵便投票はどうであったのか。横浜市は投票日時点での宿泊・自宅療養者の総数を出していませんが、その当日の無症状・軽症の方が8千数百人であったと聞いており、特定郵便等投票の対象者は8,000人程度いたのではと推測しますが、この制度を活用した件数は、僅か50件程度にとどまったと聞いております。制度の利用に関して何らかの課題があったのでないかと懸念するところです。  調べてみたところ、療養者が投票を行うに当たっては、まず、市区町村選管に投票用紙の交付を郵便で請求するのですが、その交付申請用紙については、電話も可能と併記されているものの、インターネットでダウンロードとあります。これでは、ネット環境のない方や高齢者が申請用紙を入手できるか疑問です。  次に、送られてきた投票用紙に候補者名を記入し、改めて郵便で送付となっておりますが、独り暮らしの自宅療養者は、郵便ポストに投函するために外出することはできず、家族と同居の場合も、家庭内クラスターも多く発生している現状、家族の助けを借りて投函することも難しいのではと考えます。  また、投票用紙の請求期限は選挙期日4日前で締め切られるため、それ以降に感染が判明した方は投票ができません。このような短期間に郵送を2度も行うことは、時間的にもかなり無理があると考えます。制度設計自体がどうなのか、率直に疑問に感じます。  さらに、総務省ホームページにも記載がありますが、この特例郵便等投票制度は、濃厚接触者は対象になっておりません。本来ならば、横浜市長選挙などでの結果を検証し、国会で制度の修正も検討すべき問題だと思いますが、残念ながら、国会は開かれておりません。  こうしたことを鑑みると、今後実施が想定される衆議院議員総選挙に向けて、周知徹底も含め、他県とも連携し、緊急に国に働きかけるなど、有効な手だてを検討すべきと考えます。  特に今回の総選挙は、国難と言われる新型コロナ感染症への対策が大きな争点になると言われ、一票を投じ、国政に御自身の意思を示したいと強く感じられている有権者は多く、投票する権利の担保は何としても配慮すべきものであると考えます。  そこで、県選挙管理委員会書記長に伺います。  特例郵便等投票制度について課題をどのように認識し、今後想定される衆議院議員総選挙等に向けて、どのように対応していくのか、御所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、県警察における新型コロナウイルスに感染した死体の取扱いについてです。  新型コロナウイルス感染症は、8月に入り爆発的な感染拡大となり、ようやく減少傾向も見られてきましたが、感染者の拡大により、医療機関が逼迫し、感染者は入院先も見つからず、自宅療養を余儀なくされるなど、医療崩壊と言ってもいい状態が発生しました。  こうした中、軽症・無症状との判断を受けた感染者が病院への入院がかなわず、自宅療養中に容体が急変し、残念ながら御自宅で亡くなられている方が出るなど、大きな問題となっているところです。  こうした場合は、病院での必要な治療を受けているわけではないため、死因を究明するため、法律により警察官が御遺体を取り扱わなければならず、死因究明に従事する警察官は、感染のリスクを抱えながら、日々の多忙な業務を行っていると聞いています。  また、自宅で亡くなられた方の中には、検査を受けず、新型コロナウイルスに感染していた事実が分からないまま急変し、亡くなった方も多くいらっしゃるはずで、死後の検査の後に感染が判明するケースもあると仄聞します。  そういった、いわゆる変死などの事案に関しても、感染の有無に関する事前の知識や感染防止のための装備もないまま、警察官は事件・事故の判断を行うため、死因究明のための業務に従事しなければならないなど、多くの警察官が常に新型コロナウイルスの感染のリスクにさらされていることに、私は大きな危惧を感じざるを得ません。  そこで、警察本部長に伺います。  県警察における新型コロナウイルスに感染した死体の取扱いの現状と死体の取扱いに従事する警察官の感染防止対策について伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 市川議員の御質問に順次お答えしてまいります。  コロナ禍における喫緊の課題について、何点かお尋ねがありました。  まず、ワクチン接種証明書等の活用の課題についてです。  今回、国が示したワクチン・検査パッケージは、ワクチン接種が進んでいく中で、ワクチン接種証明書やPCR検査等の陰性証明を条件に、行動を緩和していこうとするものです。  しかし、そこには幾つかの課題があります。例えば、ワクチンは効果がいつまで持続するのか、まだ明らかになったとは言えません。また、PCR等の検査に関しても、誰もが検査を受けられるスキームの構築自体がかなりの難題です。加えて、陰性証明として利用するからには、一定以上の精度を持っていることが必須であり、その基準づくりと認証が必要になります。さらに、ワクチン接種証明書をお持ちでない方に対する不当な差別といった人権面の課題も議論が必要となります。  そもそも緊急事態宣言が延長されたタイミングで、行動緩和に関する案が示されたことは、気の緩みにつながらないかという声もあります。しかし、長引く要請により、自粛疲れや鬱憤がたまっていることも考えれば、ワクチン接種が今後も進んでいく中、明るい希望が見える出口を示してくれたことには意義があるとも考えています。  今後、こうした課題について、国民的議論が行われることとなっていますが、その際には、地方の意見が十分に取り入れられるよう、本県としてもしっかりと取り組んでまいります。  次に、災害時における新型コロナウイルス感染症自宅療養者の避難についてです。  新型コロナウイルス感染症が蔓延している中で、大規模災害が発生した場合における自宅療養者の避難対策は大変重要です。  県は、既に昨年6月から、自宅療養者の情報を持たない県保健所管内の市町村に、平時においては、自宅療養者の居住地域ごとの人数等を提供しています。また、台風の接近など、災害の危機が迫った場合は、自宅療養者の氏名や住所等の情報を提供し、市町村から要請があれば、事前に県の宿泊療養施設に搬送、避難させる仕組みを整えています。  これまで、この仕組みによって自宅療養者を搬送した実例はありませんが、いわゆる第5波のように、多くの自宅療養者が発生している状況では、この仕組みの運用にも限界があります。  災害時に自宅療養者の安全を確保するためには、浸水などの危険がある地域で療養している方が、身近で安全な場所に避難できる場の確保が必要です。しかし、その際には、避難場所に医療資機材や医療スタッフをあらかじめ配置したり、医療機関との連絡体制を構築する必要があるなど、多くの課題があります。  そこで、県は全国知事会を通じて、大規模災害時における自宅療養者の避難の在り方について、統一的な考え方を示すよう国に要望しています。  また、避難所運営を担う市町村や専門家の意見を伺いながら、自宅療養者の避難に関する課題と対応を整理し、今後、県の避難所マニュアル策定指針に反映していきます。  さらに、市町村が行う自宅療養者の避難に必要な資機材の整備等に対して、市町村地域防災力強化事業費補助金による財政支援を行っていきます。  県としては、こうした取組を通じて、市町村と連携しながら、災害時に自宅療養者が安全に避難できる体制の確保に努めてまいります。  次に、コロナ禍における県庁体制と県職員の働き方についてです。  まず、職員の長時間労働や応援体制についてです。  県ではこれまで、働き方改革推進本部の下、全庁を挙げて長時間労働の是正に取り組んできましたが、新型コロナウイルスへの対応等により、昨年度、月100時間以上の残業を行った職員は、延べ237人に達しました。  こうした状況を受け、今年4月に応援職員を850人規模へと大幅に拡大し、感染状況に応じて職員を投入してきましたが、今年度も先月末時点で延べ70人を超える職員が月100時間以上の残業を行っており、職員の負担軽減が大きな課題となっています。  刻々と変化する感染状況に機動的、効率的に対応していくためには、応援職員の活用は有効な対策と考えていますが、あわせて、外部からの人材派遣の増強や、保健師など、専門人材の採用等により、人員体制を強化し、長時間労働の解消につなげていきます。  次に、県民生活に必要不可欠な業務への取組についてです。  新型コロナウイルス対策に継続的に取り組む中、県民生活に直結する業務を持続可能な形で維持していくためには、業務の効率化と職員の感染防止対策を強化していくことが重要です。  県ではこれまで、RPAやAIを活用し、内部事務を自動化するなど、業務の効率化を進めており、コロナ対策においても、LINEを活用した健康状態聞き取りフォームを導入するなど、職員の負担軽減を図っているところです。  今後も、こうしたデジタル技術を活用した業務改善、効率化の取組をさらに加速するとともに、会議のオンライン化やテレワークなどを通じて、職員の感染リスクの抑制にも徹底的に取り組みます。  さらに、各局の優れた業務改善の取組事例を共有する場を設けるなど、全職員が一丸となって働き方改革に取り組む機運をつくり上げていきます。  このような取組を通じて、職員の命と健康を守りながら、コロナ対策とともに、県民生活に必要不可欠な事業にも着実に取り組んでまいります。  私からの答弁は以上です。  〔警察本部長(山本 仁)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 山本警察本部長。 ◎警察本部長(山本仁) 県警察における新型コロナウイルスに感染した死体の取扱いについてお答えします。  初めに、死体の取扱状況についてです。  県警察では、昨年、約1万2,400体の死体を取り扱い、犯罪性の有無について調査しました。そのうち、新型コロナウイルスに感染していた死体は9体ありました。また、本年は8月末時点での新型コロナウイルスに感染していた死体は57体で、前年同期比で55体増加しております。  なお、本年8月中に新型コロナウイルスに感染していた死体は22体となっており、死体を取り扱う警察官の感染予防は重要と認識しております。  現在、9割を超える警察職員へのワクチン接種を終えておりますが、こうした状況を踏まえ、新型コロナウイルスに感染した疑いのある死体を取り扱う際には、ゴーグル、マスク、防護服、手袋の着用を徹底しています。  具体的には、死体の取扱いに従事する警察官に対し、防護服の着脱の手順を習熟させ、汚染部分に触らない、手指消毒前に自身の顔などを触らないなどの指導を繰り返し行っております。また、死体の収容、搬送には、気密性が高く、体液などが浸透しない専用の袋を使用しています。  さらに、新型コロナウイルスに感染した死体の取扱いに従事する警察官の処遇については、感染症等接触手当を支給しているほか、公務が原因で感染したと疑われる場合には、公務災害としての認定を求めることもできます。  県警察では、今後も、新型コロナウイルス感染症の感染防止に留意しながら、死体の犯罪性の有無について、しっかりと調査し、安全で安心して暮らせる社会の実現に取り組んでまいります。  以上でございます。  〔選挙管理委員会書記長(船山竜宏)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 船山選挙管理委員会書記長。 ◎選挙管理委員会書記長(船山竜宏) 選挙管理委員会関係の御質問にお答えします。  宿泊・自宅療養者等の投票権の担保についてお尋ねがありました。  外出自粛を求められる自宅療養者、宿泊療養者が選挙権を行使することを可能とするため、本年6月に特例郵便等投票制度が施行されました。  そうした中、先月の横浜市長選挙では、報道によれば、本制度の利用者は約50人にとどまっています。これは、市区町村の選挙管理委員会と療養者の間で、投票用紙等のやりとりに時間がかかることに加え、特に自宅療養者は投函に援助が必要であることが一因と考えられます。  また、施設内でポスター掲示等を行った宿泊療養者に対し、自宅療養者にはどのような周知方法が適切なのかが課題となりました。  そこで、今後は、自宅療養者の援助について、まずは家族、友人、知人に御協力いただくことが前提とはなりますが、例えば市町村が行う生活支援サービスの一環で援助することもできないか、市区町村選挙管理委員会とも検討していきます。  また、制度の周知に関しては、本県のLINE公式アカウント「新型コロナ対策パーソナルサポート」と連携して、より多くの方々に周知し、本制度の利用につなげたいと考えています。  さらに、本年6月には、都道府県選挙管理委員会連合会を通じて国に要望したところですが、国会の附帯決議で、国が制度の周知徹底に努めるとされていること等も踏まえ、改めて国に対し、効果的な周知を働きかけていきます。  県選挙管理委員会としましては、こうした取組を通じて、今後実施される衆議院議員総選挙に向けて、特例郵便等投票制度の利用促進を進めてまいります。  答弁は以上です。  〔市川よし子議員発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 市川よし子君。  〔市川よし子議員登壇〕 ◆市川よし子議員 それぞれ御答弁ありがとうございました。  それでは、再質問を2点させていただきます。  まず、コロナ禍における県庁体制と県職員の働き方についてです。  職員の長時間残業の防止や感染防止に向けて、一定の対応を図っておられるということは御答弁で理解しましたけれども、この新型コロナウイルス感染症の影響は、この先も続いていくことが想定されます。  今後の状況に応じて、今、応援でやっているのですけれども、これで組織が、ちょっと配置がゆがんでいるのではないかと心配しているのですが、年度途中であっても補正異動を行ったり、必要に応じて柔軟に組織・執行体制を見直すことも重要と考えますが、知事の御所見をお伺いします。  次に、宿泊・自宅療養者等の投票権の担保についてですけれども、御答弁ありがとうございました。いろいろやっていただけるということです。  質問でもちょっと触れたのですけれども、この制度は、濃厚接触者というのは郵便投票の対象になっていない、投票所で投票してくださいということになっているわけですね。ところが、感染法上は、濃厚接触者とされた場合、検査でたとえ陰性だったとしても、14日間は外出自粛の協力を要請するということになっていて、矛盾したようなお話になっていますし、今、検査を濃厚接触者の方もできないということで、陰性なのか、陽性なのか分からない接触者の方もいらっしゃる。こういった方が投票所で投票する場合、県選管として市区町村選管に対して、例えば動線を別にするとか、感染対策を求めるべきと考えますが、伺います。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  県では、昨年8月に、医療危機対策本部室を設置するとともに、その後も課題に応じて担当課長を増員するなど、人事異動によって、対策の核となる職員を配置してきました。また、全庁コロナ・シフトの考えの下、感染状況に応じて迅速、柔軟に応援職員を動員することにより、新型コロナウイルスと闘ってまいりました。  今後とも、感染状況を注視しながら、応援職員を投入するとともに、必要に応じて年度途中の人事異動を行うなど、柔軟な組織・執行体制を整えてまいります。  答弁は以上です。  〔選挙管理委員会書記長(船山竜宏)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 船山選挙管理委員会書記長。 ◎選挙管理委員会書記長(船山竜宏) 選挙管理委員会関係の再質問にお答えします。  県選挙管理委員会では、これまでも市区町村選挙管理委員会に対し、投票所の消毒液や飛沫防止シートの設置、入場する人数の管理や動線の工夫など、適切な感染防止対策をお願いしてきました。  今後の衆議院議員総選挙においては、全ての市区町村選挙管理委員会で投票が行われることから、改めてこうした感染防止対策の徹底をお願いしてまいります。  なお、国は、濃厚接触者について、その把握に係る保健所の過重な負担等を考慮し、制度の対象外としていますが、国会の附帯決議で、濃厚接触者の取扱いについて、引き続き検討を加えることとされていることから、引き続き国の動向を注視してまいります。  答弁は以上です。  〔市川よし子議員発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 市川よし子君。  〔市川よし子議員登壇〕 ◆市川よし子議員 再質問への御答弁ありがとうございました。  それでは、要望させていただきたいと思います。  ワクチン接種証明書等の活用の課題についてです。  ワクチン・検査パッケージを活用し、経済活動を正常化していく、いわゆる出口戦略、これは自粛で疲弊されている県民、事業者の皆様へ示していくことは、政治の役割としてはやらなければならない大事なことだと思います。  ただ、その一方で、昨年秋、Go To事業にかじを切って、第3波が起きてしまったことや、この7月も酒類提供などを緩和した直後に感染爆発が再び起きてしまったことを振り返ると、そうした経験を踏まえた上で、医療体制などを注視しながら、かじを切るタイミング、難しいとは思うのですけれども、これは慎重に検討することが求められると思います。  ぜひ、一気にかじを切るというよりも、むしろ徐々に緩和を図っていくとか、段階的に、ちょっと同じ轍を踏まぬような適切な取組をお願いしたいと思います。  また、今、課題もいろいろ共有させていただいたのですけれども、まず、課題にどうやって対応していくかというのも、これから具体的に考えていただかなければならないと思います。県民に混乱が起きないような対応を、事前に今から準備をされていくことが大切なので、そこはしっかりとよろしくお願い申し上げたいと思います。  次に、災害時におけるコロナ療養者の避難ですが、現状では、事実上、もし逃げろと言っても、自宅療養者の方が安心して避難する場所がないというのが事実なんですね。災害は待ってはくれません。私も2年前の台風で、生まれて初めて、多摩川の増水で避難所に行きました。今はそういう時代なんだなと思って、誰にもそういうことが起こり得るということで、早急に関係機関、市町村などとも連携して、専用の避難所の設置について検討を始めるように、ぜひお願いしたいと思います。  次に、県庁体制と県職員の働き方についてですが、自治体でも職員定数を増やすところも出てきています。県民生活に影響を及ぼさないためにも、特にコロナで職を失った方などを対象に増員することなども含め、業務量に見合った人員をしっかり確保し、配置するよう強く要望させていただきます。  それから、投票権についてですが、せっかくの制度ですけれども、これで投票権が担保できるのか甚だ心配です。国への働きかけをぜひよろしくお願いします。  それから、県警察における死体の取扱いですけれども、本部長からの御答弁で、私が懸念していた、県警察の職員の方に対するワクチン接種も9割を超えたということで、少し安心したのですけれども、感染リスクは、こうした事案だけでなく、通常の勤務の中でも大いにあると思います。  新型コロナウイルスとの闘いはまだまだ続くと思うのですけれども、ぜひ、そのための資機材などの拡充をしっかりと図っていただき、県民が安心して暮らせる地域社会の実現のため、警察官が安心して職務執行できる体制づくりを構築していただけるよう要望させていただきます。  〔市川よし子議員発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 市川よし子君。  〔市川よし子議員登壇〕 ◆市川よし子議員 質問の第2は、その先の神奈川へ向けた取組について伺います。  〔資料提示〕  初めに、人権を守る実効性のある取組についてです。  コロナ禍を受け、虐待やDVなど、子供や女性の人権侵害が増加しています。また、昨今では、ヘイトスピーチやネットでの誹謗中傷、LGBTなど人権侵害も多様化、深刻化しており、今後はコロナ感染やワクチン接種をめぐる差別など、新たな問題も懸念されるところであります。  翻って、本県に目を向けると、津久井やまゆり園事件という県立施設での未曾有のヘイトクライムを受け、ともに生きる社会かながわ憲章を制定し、その理念の周知、普及に努めていると承知していますが、平成28年の制定から5年、その理念が県民に浸透しているかと言えば疑問であります。  知事も、パラリンピック閉幕後の記者会見で、共生社会は全然実現できていないと御発言されましたが、実情はそうであると認識せざるを得ないと私も考えます。  子供の人権につきましては、5月に国会に我が党としても子ども総合基本法を提案しましたが、その中でも、イギリスのコミッショナー制度やノルウェーのオンブッドのような、子供の権利利益を擁護する独立機関の設置を大きな柱に盛り込んでいます。  〔資料提示〕  また、県内自治体では、私の地元、川崎市で、全国に先駆け、平成14年から運用を開始した川崎市人権オンブズパーソン制度という、子供と男女平等ジェンダーに関する人権に特化した相談・救済活動を目的とする第三者機関が設置されております。  単なる理念を掲げるだけではなく、実際に監視や救済を行う独立機関の設置は、実効性の面からも検討の余地があるものと考えます。  本県は、常に人権の先進県として全国をリードしてきたと承知しています。その中で、今回、組織再編を行い、共生推進本部を立ち上げたわけですが、人権男女共同参画が課の名前としてはなくなるなど、単なる組織の合理化ではないかと、本県の人権施策の後退を懸念する声があるのも事実であり、実際ヘイトスピーチ条例についても、さきの定例会で後退とも取れる方針が示されたこともあり、率直に不安を覚えるところであります。  また、今後デジタル社会が進む中で、その恩恵の一方で、期せずして私たちの誰もが、ある日突然、理不尽な差別や中傷にさらされ、人権が脅かされることが起こり得る、そういうことも改めて認識する必要があると思います。  そこで、知事に伺います。  コロナ禍を受け、より多様化、深刻化する人権侵害について、県民の人権を守るために、どのような決意を持って対処していくのか、また、単に理念を掲げるだけでなく、独立機関の設置の検討など、先駆的な取組を含め、実効性ある取組を推進すべきと考えますが、御所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、地域医療構想のこれからのあり方についてです。  これまでの地域医療構想は、人口減少を背景に、ともすると病床数の削減のみの視点で議論されてきましたが、今回のコロナ禍は、その考えを大きく覆すものであったと今まさに実感しているところです。  県は、地域医療構想の実現に向けて、病床機能の分化・連携や地域包括ケアを推進し、高齢、あるいは病気があっても住み慣れた地域で自分らしい生活を送れるよう、病院だけではなく、関係者が一体となって地域全体で支える体制の整備に努めるとしています。  地域全体で支える医療の取組を進めるためには、まずは一人一人にかかりつけ医を定着させること、そして、患者の診療に必要な診療内容、薬歴、検査等の医療情報や介護情報を関係者間で共有、閲覧する仕組みを整えて、医療・介護の関係者が連携して患者の地域生活を支えられるようにする必要があると考えます。  また、新型コロナウイルス感染症対策でも、地域療養の神奈川モデルにおいて、患者のデータを地域のかかりつけ医と保健所などの関係機関が共有することで、適切な健康観察や治療につなぐなど、情報をICT化することの有効性が改めて明らかになったところです。  そうした中、県は、医療と介護のデータ共有を進めるため、神奈川県地域医療介護連携ネットワーク構築ガイドラインを策定し、そのガイドラインに沿って、一部の地域でモデル事業を進めていると承知しています。  これらの取組により、一部の地域では、医療機関と介護機関のネットワークが構築されましたが、団塊の世代が75歳以上となり、高齢人口がさらに高まると言われる2025年は目前に迫っており、医療・介護ニーズのさらなる増大が見込まれることから、県内でのネットワーク構築を待ったなしで進めていく必要があります。  新型コロナウイルス感染症という未知のウィルスに遭遇した今、新たな脅威も想定した持続可能な地域医療の在り方を考えるためには、身近な地域から考えるボトムアップの視点がより重要となり、それには、さきに述べた、かかりつけ医とデータの共有の二つの要件が必要不可欠になってくると考えます。  そこで、知事に伺います。  コロナ禍を受け、これからの地域医療を考えるとき、病床の削減という従来の視点ではなく、身近な地域の視点から構築を図ること、それにはかかりつけ医の定着が必要と考えますが、御所見を伺います。  また、病床機能の分化・連携や地域包括ケアの推進を図るため、今後どのように医療・介護データ共有のネットワークの構築を推進していこうとするのか、御所見を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) その先の神奈川へ向けた取組についてお尋ねがありました。  まず、人権を守る実効性のある取組についてです。  人権は、全ての人が生まれながらに持っている権利であり、決して侵すことは許されません。  県では、様々な人権課題に対して、対象者や分野ごとに取組を進めており、その中で、実効性のある取組とするため、当事者に対し専門家による支援を実施しています。  例えば子供の分野では、弁護士などの専門員チームが子供の代弁者として、児童養護施設等に入所している子供から直接意見を聴取し、意見表明を支援する取組などを実施しています。  また、女性のDV被害者に対しては、弁護士や精神科医師などの専門相談窓口を設置し、相談者のニーズに応じたきめ細かい支援を実施しています。  一方、今日、性的マイノリティーの方々の人権課題やヘイトスピーチの問題など、新たな人権課題が顕在化しているとともに、コロナ禍においては、子供や女性など、社会的に脆弱な立場にある方々の人権課題がより深刻になっている状況です。  人権は、人間が幸福な人生を送るためには、欠くことのできない基本的な権利であることから、県では、人権尊重の社会を目指し、多様化、深刻化する人権課題にしっかりと取り組んでいきます。  そこで、社会情勢の変化を受け止めて、様々な人権課題に対応するため、現在、かながわ人権施策推進指針の改定作業を進めています。改定指針においては、新たな人権課題も含めて、人権侵害の解消に資する当事者支援の充実強化についてしっかりと位置づけ、実効性のある取組を着実に進めてまいります。  一方、人権課題に的確に対応するため、行政の監視や当事者の救済を目的とした第三者機関の設置など、新たな方策について、国においても議論がなされています。  例えば、子供の分野においては、児童相談所の活動などを子供の権利擁護の観点から監視する機関の設置について検討が進められています。  子供以外の分野においても、第三者機関の設置を行っている自治体もありますので、国の動向や他の自治体の状況なども捉えながら、実効性のある先駆的な取組について研究していきます。  今後も、県では、人権が全ての人に保障される地域社会の実現に向け、着実に取り組んでまいります。  次に、地域医療構想のこれからのあり方についてです。  必要なときに、身近な地域で質の高い医療・介護を安心して受けられるためには、気軽に相談できるかかりつけ医は大きな役割を担います。  しかし、令和2年に日本医師会が行ったかかりつけ医に関する調査では、かかりつけ医を持つ人の割合は55%にとどまっており、かかりつけ医を持つことの大切さをさらに周知していくことが必要です。  また、令和3年5月に医療法が改正され、令和4年度から、医療機関が持つかかりつけ医や専門外来といった外来としての機能を県に報告する制度が始まります。  そこで、県としても、その情報に基づき、県民がかかりつけ医を選びやすくなるよう適切な周知に努めていきます。  次に、医療・介護等データ共有のネットワーク構築についてです。  県では、横浜市の鶴見区を中心とした地域で進められているサルビアねっとの構築を支援しており、現在、113施設が参加し、1万人以上の患者の情報共有が行われています。  しかし、限られた地域でのネットワーク構築にとどまらず、県内の他地域にも取組を広げることが求められています。  そこで、今後は、サルビアねっとの成果や課題の検証を踏まえ、各地域におけるネットワーク構築への支援を検討していきます。  こうした取組により、地域医療構想の実現に向け、かかりつけ医の定着や地域医療介護連携ネットワークの構築を進め、地域包括ケアの充実を図ってまいります。  答弁は以上です。  〔市川よし子議員発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 市川よし子君。  〔市川よし子議員登壇〕 ◆市川よし子議員 知事、御答弁ありがとうございました。  前向きな御答弁で、一定、納得したものもあるので、残時間もございますので、1点だけ再質問をさせてください。  人権を守る実効性のある取組について再質問させていただきます。  御答弁では、独立機関の研究などをおっしゃっていただいて、大変感謝したいと思うのですけれども、やはり理念では人は救えません。今まさに改定している人権指針、これは5年ぐらい前に改定して、また1回改定すると、今度また改定できなくなります。  今、実効性のある取組、しっかりと位置づけたいという知事からの御答弁がありました。でしたら、知事のその覚悟があるのでしたら、ぜひこれを人権指針に、その部分を明記していただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  人権指針の改定に当たっては、今後、議会の場、それからパブリック・コメント、かながわ人権政策推進懇話会などにおいて御意見を伺い、よりよい指針となるよう見直し作業を進めてまいります。  今回頂きました御提言につきましても、今後、そうした場において議論をいただきながら、具体的にどのように指針に反映できるか、検討を進めてまいります。  答弁は以上です。  〔市川よし子議員発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 市川よし子君。  〔市川よし子議員登壇〕 ◆市川よし子議員 ありがとうございます。  人権につきましての御答弁を頂きました。今回の人権、特にSNSなどの影響で、誰もが人権侵害、起こり得ることになりました。理念では助けられない、しっかり助けてあげるのは私たちの責務だと思います。ぜひしっかりと指針にも盛り込んでいただきたいと、お願いを申し上げたいと思います。  地域医療のこれから、そうしたキーワードを二つお答えいただきました。つながりが私はキーワードだと思っています。医療とつながる、そしてデータでつながる、そういう地域医療をぜひ構築していただきますようにお願いを申し上げまして、そして、私たち立憲民主党・民権クラブ県議団としても、団員一丸となり、この県民の暮らしと命を守ることのために力を尽くしていくということの決意を申し述べまして、私の質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○副議長(佐々木正行) お諮りいたします。  本日の質問はこの程度で終わり、次回、引き続き質問並びに質疑を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(佐々木正行) 御異議がないと認めます。  よって、本日の質問はこれで終わります。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(佐々木正行) 以上で、本日の日程は終了いたしました。  お諮りいたします。  明16日は休会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(佐々木正行) 御異議がないと認めます。  よって、そのように決しました。  次回の会議は、9月17日午前10時30分に開きます。  本日はこれで散会いたします。誠に御苦労さまでした。                  午後4時49分 散会...